KP -コネクト導入でリアルタイムに状況把握
印刷業界で勝ち残っていくために、リーマンショック後から仕事の〞見える化〞に積極的に取り組む㈱アサプリホールディングス。見える化は、1品当たりの原価を明確にするための仕組みとして始まったと、松岡社長は語る。
「現場から時間の情報を吸い上げる仕組みが必要だと考え、時間管理の概念をプラスした基幹システムを開発しました。
すでにグループ内の印刷機ごとの『着手』『完了』 情報がリアルタイムに分かり、コストメーターという原価の把握を行っています。KP-コネクトの導入の狙いは、IoTの活用により、印刷機の状況をリアルタイムに知るためです。KP-コネクトを導入すると、印刷工程や印刷機のコンディションの可視化にとどまらず、経営者が最も知りたい今時点の生産状況も簡単に知ることができるようになります。さらに、KP-コネクトをMISとつなぐことで、一度打ち込んだデータは二度と書いたり、打ち込んだりしないようにでき、また、半日かけて作成していた会議の資料や分析資料も全部エクセルで出力できるため、機械別・顧客別・オペレーター別などの実績管理も簡単にできるようになります。ITができる部分を自動化することで、人にしかできないコア業務に時間を割けますし、入力ミスなどの人為的なミスなどを防ぐことにもつながります」
さらに、KP-コネクトの活用によって、生産効率が上がり、空いた時間を有効活用できるようになる。アサプリグループでは、その時間を有効活用するために、オペレーターの「多能工化」を推進している。
「KOMORIの印刷機は高性能であり、仕事は昔ほどあふれていません。印刷機の性能が上がり、KP-コネクトによって生産性が上がった今、印刷だけをやっていては、オペレーターに空き時間が発生するだけで、市場価格が下落する中で利益を生み出すことはできません。そこで、断裁機や折機、オンデマンド印刷、梱包・出荷などの業務も担当できるようにしています。
印刷工程と情報の可視化で作業効率アップ
また、KP -コネクトはPDCAを回すツールとして適していると、松岡社長。
「ジョブが止まっている場合、対策を取るには原因を知る必要がありますが、お客様の都合で止まっているのか、ある作業に時間がかかり止まっているのか、工程間の受け渡しで止まっているのかがすぐに分からない。でも、KP -コネクトを導入していれば、止まっている原因も自動で吸い上げられるため、すぐに対策を取ることができます。
KP-コネクトでは、各工程にかかる時間が自動的にデータ化されます。実際に、色見本が前回の刷り取りか、本機校正かプルーフかカラーマッチングされた色校正紙かによって、刷り出し時間が大きく変わること、見当合わせが何回で何分で刷り出すのが適正なのかが分かってきました」
さらに、同じジョブでも機長によってかかる時間がどれくらい異なるかが、数値化によって明確になった。
「時間がかかっているのは、版付けなのか見当合わせなのか、色合わせなのか、何に時間が取られているのかが分かれば、その工程の作業が速い機長のやり方に合わせていくことができ、PDCAによって業務を効率化していくことができます。今後、KP-コネクトが全国の印刷会社に広がっていくことで、自社だけでなく、全国の中で、刷り出し時間の速さや回転数などの順位が分かるようになると、自社の立ち位置やオペレーターの立ち位置を把握できていいですね」
このような可能性もあるのが、KP-コネクトなのだ。さらに松岡社長は、KP-コネクトによるIoT化の利点を続ける。
「IoTでKOMORIともつながっているため、よくチョコ停が起きていることなどが、遠隔で分かります。また、 改善方法やメンテナンス情報が分かるようになっています」
売り上げと付加価値を逃さないためのツール
KP-コネクトはクラウドのため、ユーザーの声を反映して、日々新しい機能を追加している。今後、より効果的に活用することで、さらに改善を目指すと松岡社長。
「高額な印刷機を最大限に活用できるよう、私どももKOMORIやほかのユーザーと一緒になってやっていきたいです。経営者として、KP-コネクトは、リアルタイムの印刷スケジュールが見えるようになるため、突発的な外注を減らすことができ、社内にある売り上げを確保しながら、付加価値を外に流出させないことをみんなで考えるためのツールだと感じています。
印刷業界が厳しいことは、従業員のみんなも分かっています。だから経営者である私が声をあげ、厳しいからこそ、こうやって数字を取っていくために改善していこう、そのためにKP-コネクトをフル活用するんだと伝えて、みんなで取り組んでいます」