他社が追随できないUV6色両面という競争力他社が追随できないUV6色両面という競争力
「京都議定書(1997年)以降、環境に配慮した印刷へのニーズが高まり、水なし印刷の技術を追求してきた当社では追い風になりました。現在は、多くの企業がCSR報告書や会社の看板となるパンフレット、株主総会の案内状などの印刷に、水なしを指定されます」
そう中嶋社長が語る㈱文星閣は、70周年を迎え、同業に頼られる会社へと成長。現在は、同業からの受注は、全案件の約8割を占める。
「同業の仕事を推進するには、品質と納期が絶対。生産性を上げてよいものを刷ることが工場の命題になっていきました。そこで、UVや両面機を取り入れることに。特にUVの速乾性は、短納期対応にはもってこいで、過去には 『4(フォー)アワーズ』 というフレーズをつくり、下版されてから両面を刷って断裁するまで、4時間ということをうたい文句に営業しました」
同業の仕事をする印刷会社は、経営が厳しい状況に陥りやすいともいわれている。そんな中、勝ち残ってきた秘訣を、中嶋社長は次のように話す。
「印刷に特化すると決めた後、積極的に態勢を整えてきました。近年では、2013年にH-UV搭載リスロンGX40RP(菊全判5色両面オフセット枚葉印刷機)、2016年に水なし対応のリスロンG40(菊全判5色両面オフセット枚葉印刷機)を2台入れています。大手であっても一つの工場で、水なし、UV、厚紙、薄紙、特殊原反を手掛けているところは他にはないと思っています。枚葉ならどんな仕事も対応できるということが、当社の大きな価値であり、その価値をさらに高めるために、今回、H-UV搭載リスロンGX40RP(菊全判6色両面オフセット枚葉印刷機)の導入を決断しました」
UV6色両面の印刷機は、世界初。両面印刷での 「高品質化・短縮化・高速化・安定化・低減化」 を徹底追求した同機が誇る圧倒的な生産力は、これまで不可能だった仕事を可能にしている。「6色UV(両面)をワンパスで刷れ、例えば36万通しの6/6の仕事であっても、短期で納めることができます。夜に下版して20万通して翌日中にほしいといった注文であっても、両面機2台で対応できるといった、当社にしかできない仕事の領域の幅が増えました」
同社では、今回のH-UV搭載リスロンGX40RPの導入によって、お客様の強力なパートナーとなると同時に、これまで工場が抱えていた課題も解消している。
版数が増えるほど時間が短縮できる
4月の起動式から約半年。今はロットや納期、さまざまな用紙を試すなど、性能を最大限に生かす方法を模索している。そんな中、瀬高副工場長の目には、効果や方向性が見え始めている。
「これまでH-UVの両面機は1台しかなく、仕事が続いていたため、メンテナンスのために機械を止めるタイミングが取れませんでした。しかし、2台になったことで、保守のためのメンテナンスに充てられる時間が増えました。その結果、今後はさらに品質を安定させていけます。また、H-UV搭載リスロンGX40RPには、全色同時刷版交換装置(A-APC)をオプションで付けています。版交換が断然早く、小ロット仕事においては、その差は歴然。版数が増えるほど時間が短縮できるので、生産効率に大きく貢献しています」
さらに、機長を務める広瀬係長は 「胴が多いため、気を配るべき点もありますが、自動化で生産効率が高く、何を刷ってもメリットになる印象。また、検査装置PQA-SやPDC-SXのおかげで、スタートを早くできています。この機械を担当し、モチベーションも高まり、成長できていると感じます」 と話す。
生産性最大化に向け今後もサポートに期待
文星閣の印刷機は、現在、8台69胴全てKOMORI機を採用している。中嶋社長には、機械の選定において、徹底した持論がある。それは 「どのような機械を入れるかは、経営方針などを考えるトップが決めるべき。しかし、どのメーカーのどの機種を入れるかは、現場の責任者に委ねるべき」 というもの。
「品質・価格・サービスの3点を基軸に総合で判断していたら、結果的に全てKOMORI機になりました。特に、サービスは選定の決め手。サービス部隊単体のことを指すのではなく、印刷会社に対するトータルでのサービスのことです。つまり、どれだけこちらを向いてサービスをしてくれているか。KOMORIとは、キャッチボールができるような関係性を築くことができていて、それが世界初のUV6色両面の印刷機の実現につながったのだと思います」H-UV搭載リスロンGX40RPを中心に据えた新工場全体の生産性最大化に向け、KOMORIとのキャッチボールは続いている。
「新工場も順調に推移しており、1日でこなせる量は、すでに目に見えて増えています。対応できる仕事の幅も広がっています。将来をしっかり見据え印刷を極めていきたい。それが当社にとって大事なことだと信じている」 と中嶋社長は語った。
左:H-UV搭載リスロンGX40RPを入れた新本社工場は、生産を格段と向上させた。「隣の機械の状況がよく見え、別の機械でサポートしたりするなど、仕事の組み換えも判断しやすくなりました」(瀬高副工場長)
右:9月に110名を超える取引先を招待して開催した、新工場での内覧会。セミナー、実演、実機見学、工場見学に、お客様は大きな関心を寄せられた。