短納期への対応はメンテナンスが重要
中和印刷紙器㈱の玉置社長は、2016年からKOMORIのオフセット印刷機を立て続けに導入した。
「短い納期の中で品質が求められる仕事が多くなり、対応していくためには、保守・メンテナンスに力を入れる必要がありました。そこで、メンテナンスや故障時に迅速な対応が期待できる、KOMORIのオフセット機に入れ替えることにしました」
2016年のリスロンA37P(A全判反転機構付2色オフセット枚葉印刷機)導入に始まり、2018年H-UV搭載リスロンS26(菊半裁4色オフセット枚葉印刷機)を、さらに同年厚紙印刷にも対応するH-UV L(LED)搭載リスロンG40(菊全判4色オフセット枚葉印刷機)を追加し、H-UVによる生産力の強化も同時に図っていった。
新旧オフセット印刷機の置き換えが一段落したところで、次に取り掛かったのは、「時間管理」 の改革だ。
「受注産業としては 『時は金なり=時間が全て』 です。前社長(現会長)の時代から時間に対する意識を高めようとしてきましたが、改善の指標が漠然としていて、根本的な改善につなげられていませんでした」 と語る玉置社長。そこで、さらなる効率化を目指し、KP-コネクトの導入を決断した。
KP-コネクトの意義は現場の意識改革にある
現在、KP-コネクトには前述したKOMORI機3台がつながっている。どのようなデータをチェックしているのか。玉置社長は 「各機械の稼働率に加え、今月は何枚印刷したかなどを見ています。また、準備時間に関する数値に問題があると、何が原因なのかを現場と共に分析しています」 と、作業の改善や全体の最適化を図ることで経営面に役立てている。
一方、現場は、現場ならではの課題に取り組んでいる。全体の段取りやスケジューリングを担当する生産部の橋本次長は 「KP-コネクトを入れてから業務の生産性が飛躍的に高まりました。
その要因は、現場の時間に対する意識が変わったことにあります」 と導入効果を挙げる。「特に見当や色合わせの時間、試し刷りの枚数、稼働率をチェックしています。月間で何かの数字が大きく変化すると、そこから課題が見えてきます。現場全体で課題を共有し、改善に取り組める環境ができてきました」
リスロンS26の機長である伊藤係長は、「同機種の平均稼働率と数値を比べることで、基準や目標ができました。他社に負けたくないと思い、KOMORIの助言も受けて作業を工夫したことで、切り替えや色合わせなどの段取り時間が15分程度短縮できました」。また、リスロンG40機長の豊田係長は 「生産性を数字で示されることはプレッシャーである反面、現状や目標を確実に把握できるので、他の機長と切磋琢磨しながら向上に取り組んでいます」。リスロンA37P機長の森氏は 「稼働記録やメンテナンス情報は保守管理の重要な判断要素です。回転数を上げ、ミスや損紙を減らすという改善の方向性も見えました」 と、KP-コネクトによってもたらされた、現場全体と自身の意識の変化を語る。
効率的に改善していくにはK-サポートが欠かせない
同社は、KP-コネクトが収集したデータをもとに、KOMORIが機械のコンディション調整や操作支援を行う保守管理サービス 「K-サポート」 も導入している。
玉置社長は 「自社だけで改善を行うよりも、KOMORIの分析やアドバイスを聞き、改善していく方が効率が良いと感じています。例えば、当社は3台の印刷機がKP-コネクトとつながっていますが、作業に対する入力のタイミングを統一するよう、KOMORIからアドバイスがありました。それを実行すると、とても分析しやすいデータが取れるようになりました」 と、K-サポートを評価する。さらに 「経営者として機械をどのようにマネジメントしていくべきか、いろいろと提案してもらっていますし、現場の整理整頓など5Sへの意識改革にもつながりました」 と続ける。
一方、橋本次長は 「従来は、版を印刷機に取り付けてから見当マークを入れていたが、KOMORIの提案によって、製版の時に見当マークを焼くようになり、効率が上がりました。当たり前だと思っていたことの中に、改善の余地が多いことをK-サポートで実感しています」 と生産面での活用を話す。
玉置社長に今後の展望について尋ねると 「他社にはできないことをもっとやりたい。印刷と加工を効率よく連動させて一貫した生産体制をさらに確立したいと思っています。皆で競い合ったり、話し合ったりして、総合力を高めていきたいです」 と答えた。
KP-コネクトとK-サポートの導入は、全社一体となって 「前進」 していく意識にもつながっている。