培った品質と信頼性でコスメ業界に進出
「少しの汚れ、傷でもアウト。品質絶対主義を掲げ、顧客の期待に応えるため、原価をあまり考慮せずに印刷物をつくってきました」。こう語る大光印刷㈱の中村社長が、亀岡工場の改革を急ピッチで進めるには、理由がある。根底にあるのは、薬機法改正による、医療用医薬品添付文書の電子化だ。
「あと1年ほどで、添付文書の添付義務がなくなります。昨今の製薬業界の情勢から考えるに、大半の製薬会社が遅かれ早かれ、紙媒体の添付をとりやめることでしょう。添付文書はもうなくなってしまうので、今まで当社では脇役だったパッケージ事業でもしっかりと利益を出していかないといけません。ところが亀岡工場の損益計算をしてみたところ、結果は大きな改革を要するという結論でした」
そこで、注力しているのが、クリアケースやクリアパッケージだ。同社は、30年以上前からクリア素材のオフセット印刷を手掛けており、その実績とノウハウは国内有数にまで高まっている。
「医薬品関連の印刷で培った品質の高さと信頼性を生かし、現在、コスメ業界の案件を伸ばしています。コスメ業界における競争力を高めるためにも、クリアパッケージの生産力を強化することにしました」
同社は十数年にわたり、リスロンS40(菊全判7色オフセット枚葉印刷機)をフィルム専用機として使ってきた。2019年2月、さらなる成長に向けて、新たにUV搭載リスロンG40(菊全判7色オフセット枚葉印刷機)をクリアケース・クリアパッケージ専用機として増設した。
リスロンG40で生産スピード向上
亀岡工場の大槻工場長は、リスロンG40について、「クリアパッケージをはじめとした非吸収体の印刷は、紙とは違う特殊な技術が必要になります。水とインキのバランスなどが非常にシビアで、ノウハウが不可欠。リスロンG40は、それに期待以上に応えてくれており、リスロンS40よりもさらに高い安定性と機能性を発揮しています。導入から約1年半にわたり、製造面が効率的になってきています」 と、評価する。
さらに、リスロンG40の実稼働を担う中川部長は、「導入によって、生産スピードの向上が図れています。ベンダーレスで、版を曲げる作業がないのが大きく、それだけでもかなりの時間短縮になっています」 と効果を挙げるとともに、「長年KOMORI機を使っていますが、KOMORIは対応も良く、連絡すればすぐにサポートに駆け付けてくれるので、安心して仕事ができます」 と、導入の決め手を語った。」
KP-コネクト プロ導入で生産性向上・外注費削減
また 「これまで、生産の計画や進捗、営業情報などが属人化していて、担当者にしか分からない"ブラックボックス化"していた」 と話す中村社長は、工程管理作業の効率化と脱属人化を図るため、KP-コネクト プロ(KOMORIソリューションクラウド)も導入。リスロンG40とリスロンS40、箔押し機1台、型抜き機1台、製函機2台をつなげ、2020年1月から、本格運用を開始した。
京都にある本社で営業企画を担当する平林課長代理も 「従来、生産予定はエクセルで管理していたため、各部署の情報共有に大変な労力がかかっていました。
工務担当が各々のルールで予定を作成するため、検索性も悪かった。さらにコピー&ペーストを多用した作業はヒューマンエラーを引き起こすことも多かった」 と課題感を持っていた。それがKP-コネクト プロによって、大きく変化した。
「必要なジョブデータが基幹システムから自動で連携されるため、手作業によるミスが大幅に減りました。営業と生産、予定を組む部署が、リアルタイムの予定・進捗状況を見ながら話し合えるようになりました。予定組みで先手を打てるため、印刷から後工程まで一貫して効率よく回せるようになりました」 と大槻工場長。結果として、内製率が高まり、外注費の削減効果も出ているという。
平林課長代理は 「各々の印刷機で実施した仕事は、案件ごとに正確な実績データとして記録されます。当社ではまず各々の仕事で使用した紙の枚数を分析することで、無駄な予備紙の削減を実現できました。課題としていた生産管理の脱属人化と効率化も達成することができました」 と話す。
見える化で材料費を削減
付加価値アップへさらなる活用
中村社長は、KP-コネクト プロで 「原価でもっとも割合を占める原紙代を、見える化による効果で大きく削減することができました。売上を100としたときに、原紙代がどの程度の割合を占めているかをチェックしています。KP-コネクト プロ導入以降は、その割合が5〜8程度改善しておりその効果に驚いています」 と、具体的な数字を示して強調する。
「今後はフィルムラインだけでなく、紙パッケージのラインにもKP-コネクト プロを導入して、工場全体の稼働率を上げていくとともに、行く行くは一つ一つの製品で本当に利益を上げているのかを追っていきたい。KP-コネクト プロはそれができるシステムだと思います。今後は、さらに精度の高い印刷会社としての価値を高めていきます」
「後加工機はiPad入力経由で、KP-コネクト プロにつなぎ、統合管理しています。リアルタイムの工程の調整は、現在の印刷現場に欠かせません。それを可能にするのが、KP-コネクト プロです」(大槻工場長)