fujika株式会社フジカは1970年に紙卸として創業、現在は印刷用紙および紙製品の販売と印刷加工を行っている。1987年以降、10台以上のKOMORI機を導入するなど、積極的に設備投資を実施しており、2023年1月には新たにアプリシアCTX132(プログラム油圧クランプ大型断裁システム)を導入した。加藤義章社長、執行役員生産管理本部長の加藤康司氏、CD課リーダーの米崎敏満氏、生産管理部プリンティングチームリーダーの片寄正喜氏に、同機導入の背景と効果について、そして同時期に導入したリスロンG37Pアドバンス(A全判反転機構付オフセット枚葉印刷機)についてもお聞きした。
自動化・スキルレス化が可能な断裁機が 齢化・後継者不足の課題を解決
紙の卸売販売と印刷加工の受託を事業の両輪とする㈱フジカは、紙に関する確かな知見と豊富なノウハウ・経験を生かし、顧客に最適な用紙や印刷加工の提案を行っている。
加藤社長は 「当社が印刷製造の一端を担うことで印刷会社様に企画・制作に注力していただけるよう取り組んでいます」 と話す。顧客の製造を補完する役割を果たすため、これまでも先行して設備の充実を図ってきた。今回、アプリシアCTX132を導入した背景には、断裁士の高齢化・後継者不足の課題があった。「お客様に納める印刷用紙の断裁に加え、印刷加工による断裁もあるため断裁量が多く、断裁機の使用頻度が非常に高いのが特徴です。しかし、断裁士は職人的な要素が強く、人材の定着や技術の伝承が長年の課題でした」
そんな折、アプリシアCTXシリーズの販売開始の発表を見て、「自動化やスキルレス化できる断裁機に初めて出会った。トライしたい。高い精度で断裁作業を自動化できるなら、職人の技能を補完できるのではないか」 と期待を持ったという。
断裁の生産量を大幅に引き上げるアプリシアCTX132
アプリシアCTX132には、独自技術であるアプリシアフロントローディングとアプリシアロータリーグリッパーが搭載されている。用紙を自動で搬送・断裁している間に、オペレーターはジョガーへ紙積みをすることができ、1人での作業が可能になっている。加藤本部長は 「以前は補助作業者が必要で2台4人体制でしたが、現在は既存機1台とアプリシアCTX132の2台を3人体制で進めることができています。それが実現できているのは、アプリシアCTX132が、補助者を配置せずに、オペレーターの1人作業が可能な機械だからです。手が空いた1人を新しく設備したシュリンク機にまわすことで、断裁後の加工部門のボトルネックが解消され、生産の流れがスムーズになりました。断裁の生産量は、導入前後3カ月の平均と比較して130%増加しています」 と効果を話す。
さらに加藤社長は 「リスロンG37Pアドバンスで増えた印刷量をカバーしている上に、人員配置の自由度や効率性の向上を鑑みると、全体の生産性は5割ほど高くなっている印象です」 と評価する。
また加藤本部長は 「断裁は完全な手作業であり、特有の技能や経験が精度に影響していた」 と導入前について振り返る。現在の状況について米崎リーダーは 「フロントローディングとサイドプッシャーを使用することで、職人ごとのばらつきがなくなり、均一な精度が得られます」 と断裁の精度を評価。さらに 「自動断裁は紙を回す作業もないため、身体的な負担が大幅に軽減されました。また、AWR(自動切りくず除去機能)のおかげで、切りくずを捨てるために作業を止めることもなくなりました。その時間を指導や気配りに充てることができ、常に効率を考えた導線で動けるようになっています。また、アンローダーの紙揃えが非常に良く、きれいに積めることも助かっています。とても良い機械だと思います」 と話した。
サポート体制についても 「印刷機と同様にスピード感を持って対応してもらえるので安心できる」 と加藤社長は評価した。
1人体制での自動断裁
左:AWR(自動切りくず除去機能)、右:アンローダーによる自動紙揃え
印刷の仕事量増加をリスロンG37Pアドバンスで対応
同社は2022年12月に、リスロンG37Pアドバンスを導入している。加藤社長は 「仕事量の増加に伴い、片面機だけでは対応に限界がありました。ワンパス両面印刷機であるリスロンG37Pアドバンスは、従来機と比較して1時間当たり5割ほど高い圧倒的な生産性で貢献してくれています」。さらに加藤本部長は 「A全機は既設の菊全機と比較しても刷版サイズが小さい上、電力消費量も少なく、省エネ印刷を実現できます。もともとリスロンA37を使っており、操作性が同じなため、オペレーターの習得も早かったです」 と話す。印刷部門の片寄リーダーは 「デリバリーのファンが細かく調整できるので、エア調整が容易となり、安定して最高印刷速度1万5000回転で生産できています。印刷中に濃度を追従する機能により、容易に色を安定させられるので、経験の浅い若手も安心して起用できます。高品質の印刷が維持できるので、導入してとても良かったと思います」 と評価した。
左:生産性、コンパクトな機械サイズ、社内資材の統一や、おおむね共通操作でオペレーターの柔軟な配置が可能なことなどから、リスロンG37Pアドバンスの導入を決めた。「一発見当で即本刷り、最高回転での印刷を常に目指しています。機械の性能もあり、ほぼ実現できています」 (加藤本部長)、右:最高回転での印刷
今後は断裁の技術伝承を本格化 KOMORIの全面的な支援を期待
今後は、アプリシアCTX132のJDF連携機能を活用して、断裁の技術伝承を本格化していく計画だ。加藤本部長は 「面付けデータから断裁工程を自動で計算して、切る順番や位置をガイドしてくれる機能を活用することで、教える側の負担が軽減され、育成にかかる時間も短縮できるでしょう」 と期待する。
最後に加藤社長は、「これからもお客様の工場機能を補完する〝黒子〟に徹していきます。頼りにしていただけるよう、さらに自動化や省人化を進め、生産力の向上を図ります。また、環境問題や、社員の働きやすい環境づくりに取り組み、さらに社会に貢献できる会社づくりを推進します。KOMORIには引き続き機械のサポートに加え、品質・生産性・競争力を考慮した、最良の提案を期待しています」 と語った。
「アプリシアCTX132による省人化の効果は、これまでの人員で新たなシュリンク機導入を可能にし、結果、超短納期案件の物量を大幅に増やすことができています。工場全体で多能工化を進める大きな後押しにもなりました」(加藤本部長)