高品質化へのこだわりでImpremia C100を導入
㈱イニュニックは、「高品質な印刷物を短納期・低価格でお客様にお届けする」という印刷へのこだわりを持ち続けている印刷会社である。
都市型印刷会社として幅広い印刷を手がける一方、10年前からインターネットによる印刷通販を展開。8年ほど前からはPOD機を導入しオンデマンド印刷を開始し、2013年には短納期化と生産性向上を図るためにH-UV搭載リスロンA37(A全判4色機)を導入している。
最近は、冊子印刷、同人誌印刷、写真集、自費出版物などページ物のネット受注が増えており、特に写真関係やアート関係、コミケ関係などのお客様から高い評価と信頼を得ている。現在はオンデマンドのほとんどがネット印刷で、オフセットはネットが6割、仲間仕事が4割となっている。
山住社長に同社のネット印刷が伸びた理由を伺った。
「当社のネットのお客様は約半分が安くて親切なところを探して発注してくる一般の企業様や学生などです。印刷のイロハを知らない方も多く、無料のデータ修正や刷り見本配布など当社の真摯な対応が口コミなどで広がって受注も増え続けています。そして残りの半分が正確な色の再現性を重視するプロのデザイナーの方々です」と語る。
同社は徹底的に品質・画質にこだわりを持っている。そして、社員はこだわりを実現する高いスキルを持っている。
「当社はオフセットをやっていますから印刷品質のレベルは分かっています。オンデマンドでも同じ品質で出すことができます。そして、これからは高品質なもの、特殊な加工や綺麗な印刷物を作れるところだけが生き残れると思っています。ですから、今考えているのは高品質化です」と語る山住社長は、ネット印刷の新たな戦略を考えている。
同社はネット印刷の高品質化戦略を実現するために、本年3月にデジタル印刷機Impremia C100(以下、C100で表記)を導入している。
ネット印刷で生き残るために"親切さ"を戦略化
「ネット印刷を10年やってきて色々なことが分かってきた」と言う山住社長に、高品質化戦略について伺った。
「ネット印刷でもお客様の印刷立ち合いをやっていますし、画像補正やデータ作成の助言なども行っています。印刷立ち合いで用紙や絵柄の色を合わせながら作ることで、お客様は満足度の高い冊子や写真集が出来上がります。
そしてもう一度、より綺麗で高品質なものを作るという原点に戻って、非常に品質にシビアな写真家などプロのお客様に特化してアピールしていきます。"一般の印刷会社よりちょっと安くて、ネット印刷の他の会社よりも高い" というところを狙っていく戦略です。安さの価格競争から離れることもできます。かゆいところに手が届くきめ細かいサービスによる"親切さ"で生き残っていくことを基本方針にしています」と笑顔で語られた。
同社は、原稿データから事前に仕上がりや品質を想定できるスキルを持っている。何か気づいた場合は、お客様と電話やメールで連絡を取り合い、いい方向に提案したり変更したりしながら進めることができるという。
C100の島袋担当は、「画像補正に関するお客様との打ち合わせや、写真画像の明るさやシャープネス、コントラスト調整などのデータ補正はほぼ任されています。C100はイメージとほぼ変わらない出力ができます。くっきりとクリアな画像できれいな品質に仕上がります」と笑顔で語る。
C100で生産効率アップとSNSの広がりに期待
「C100は一定のカウンター料金(トナー込み)で、品質が一番いい」と言う山住社長に、C100の選択理由や導入メリットを挙げていただいた。
○C100は色が非常に安定している。
○空の淡いブルーなど細部の色再現性にも優れている。
○凸凹のテクスチャーの強い用紙にも対応できる。
○高額で販売されるような高級な写真集に対応できる。
○プロの写真家のお客様から指定される。
○少ない人数で多くの仕事ができ、生産効率が上がる。
○機械が調子よく動き続けているのが実感できる。
山住社長は、「これからはCTPもC100もセッターもすべて1つのRIPで管理するのが主流になると考えています。ですから、オフセットもオンデマンドも同じKOMORIを窓口にした方が良いと考えています」と語られた。
「使い方や要領が分かってきた」と言う山住社長に、C100のイニュニックならではの生産効率アップも伺った。
○電子丁合でページ毎に違う絵柄を出力し続けるのはストレスがかかるので、200部作るなら同じページを200枚続けて出力し品質が安定するようにしている。
○以前は特殊な紙や手触り感のある紙などお客様からの要望に応えていたが、最近はC100の高品質できれいな色調で表現できる紙を提案するようにしている。
○少部数のページ物は本文や表紙を機械ごとに振り分けて出力している。漫画系は1点が4 ~ 5時間、32ページ・100部のコミケ物は1時間以内で完了している。
そして、「これはイニュニックで作りました。満足です」というお客様の声がネットやSNSで広がり、受注につながっているという。
親切さを付加価値に、新しいものにチャレンジ
山住社長に今後の取り組みについて伺った。
「いろんなことが社内でできるよう内製化を行っていきます。これからはスペシャリストだけが生き残っていけると思っていますので、画像補正など多くのスペシャリストを社内で育てていきます。さらに、PUR製本や雁垂れなどの設備も内製化して、丁寧な仕事を前面に打ち出せる会社にしていきたいと考えています。 本を作るという人間関係の中で培った"親切さ"という付加価値を大切にしながら、現状を打破するような新しい企画や何か変わった印刷を提供できるようにチャレンジしていきます」と語る山住社長は、お客様が求めるネット印刷の先にある印刷の世界を見つめているようだ。