2016.09

株式会社城野印刷所 様

Impremia C71とK-ColorSimulator 2を昨年導入。
熊本地震からの復活に多方面でオンデマンドを活用。

  • 城野 斉
    代表取締役社長
    城野 斉 氏
  • 中尾 昌治
    営業部IT推進室課長
    中尾 昌治 氏

お客様が相談に来るような会社を目指していた

本年100周年を迎える㈱城野印刷所は、企画・デザイン・印刷全般からウェブまで幅広く手がけ、お客様の幅広いニーズに応えるマルチメディアの総合印刷会社である。
5代目となる城野社長に会社の目標について伺うと、「お客様が商売を行う際に困っていること、やりたいことがある時に、最初に相談をするような会社にしたいと思っています。そうなるには印刷の仕事だけではなく、他のメディアも使いつつ提案を行っていく広告代理店のような仕事もやる必要があります。また、広告戦略に合わせて商品開発や流通も視野に入れたソリューションも提供していきたいと思っています。印刷業を営む会社は多種多様な業種とのネットワークがありますので、それを駆使すれば広告代理業との差別化は可能だと思っています。そこまでやることができれば、単なる製造業の下請会社から脱却し、お客様のビジネスパートナーとなることができます」と、地域とともに歩む企業が目指す姿勢を語られた。
同社の社員数は140名。オフセット印刷機は、菊全の8色反転機・両面4色機・片面4色機、菊半裁の片面4色機・2色反転機、B縦半裁輪転機のすべてがKOMORI機である。

地震で実感。手元に残る情報は紙メディアが一番

同社のある益城町を震度7の直下型地震が襲った。城野社長は、「100周年の計画が地震で全部吹っ飛びました。14日の前震に続き、16日の本震で印刷機は全部浮き上がって動き、社屋の柱などがダメージを受けていました。社屋が使えなければ廃業も覚悟していました」と語る。
「被災直後はどのメディアも見られない。みんな不安になるから、うわさやデマが多くなり、それを当てにしてパニックになります。その後、整理された情報が出ますが、テレビ、ラジオの情報は手元に残らない。インターネットはどれが本当の情報か分からない。自治体は被災者対応で忙しいから、自治体からの情報は遅い。その時に、給水や支援物資などの情報を手元に残しておけるのはやっぱり新聞が一番でした。」
城野社長は、紙メディアの強さ、役割を実感したという。
被災後の復旧に関して城野社長は、「本震から5日後の社屋検査の結果、安全に作業ができることが判明したため片付けや補修を始めました。KOMORIに印刷機をすべて見てもらって、復旧作業で最後まで残っていた8色機2台が動いた時が、完全復活となりました」と、現在は震災前の仕事が100%受けられる状態になったと語られた。

Impremia C71の成功事例が復活の武器になる

「経済規模が小さい熊本では、お客様のためにどう応えるかとなると、それこそ小回りの利くオンデマンドの活用がカギになってくると思います」と語る城野社長は、昨年6月にImpremia C71(以下、C71で表記)とK-ColorSimulator 2(以下、KCS 2で表記)、EPSON PX-H10000を導入している。

Impremia C71

「C71導入の決め手となったのはKCS 2です。KCS 2はオフセットとのカラーマッチングができ、さらに自分たちでカラープロファイルを簡単に作ることができます。色校正用にはEPSONを使用していましたが、C71は本紙でカラーマッチングができるので、A3以下の色校正にも積極的に使っていきたい」と語る城野社長に、C71によるビジネスモデルの成功事例について伺った。
「沖縄のお菓子で新商品パッケージの仕事がありました。新商品なので実際に売れるかどうか分かりません。そこで、まずC71でパッケージサンプルを500箱作って販売してみました。すると大ヒットになり、今では2ヵ月毎に5万箱をオフセットで対応しています。次の新商品でも同じ展開で成功してお客様に喜ばれ、受注量も増えています。さらに、厚紙対応の成功例としては卒業アルバムがあります。極小ロット対応のC71は厚紙もできて、色もいい、表面加工もできます。顔写真や髪の毛、細罫の厳しい条件にも対応できる汎用性があります。仕上がりは写真家も納得していますし、営業も自信をもってお客様に勧めています」と城野社長は笑顔で語る。
これらの成功は、震災後の同社にとって、県外のお客様に話を聞いてもらうための営業の武器になっているという。

EPSON PX-H10000

県内外の同業者とのカラーマッチングで仕事増

「C71単体だけでは仕事は限られる」と言う中尾課長に導入成果を伺うと、「C71に加えKCS 2や加工機との一連の仕組みの提案をKOMORIから受けましたが、それがイメージしていた内容に近いと思いました。C71+オフセット、C71+後加工機で多彩な仕事ができ、最近ではKOMORIに相談することが増えました」と語る。
中尾課長に同業者との仕事について伺うと、「KCS 2を用いて同業者とのデバイスリンクプロファイルの作成を進めており、今は4社目をやっています。これにより色見本を送ってもらう手間と納期の削減が図れますし、県外との距離も縮まっています。今までに比べて、技術が必要な物件、より利益のとれる物件が増えてきています。県外からの仕事が増えているのも本当に大きい」と明るい声で語る。

K-ColorSimulator 2

C71は名刺・封筒はもとより、観光情報誌、ガイドブック、販促ツールなど多様な制作物に活用している。今後は、イメージバリアブルの展開をはじめ、型押し・型抜き・打ち抜き・ラミネートなどの設備を整えて内製化の強みを発揮したいという。

お客様のビジネスパートナーとなれる会社へ

被災後3カ月、城野社長に今後の戦略について伺った。
「地震による補修や立て直しもあり費用がかかりますが、それでもやらないといけない。今日のメシ、明日のメシを考えなければいけない中で、10、20年後を考えるのが社長の仕事。そして社員と一丸となって大変さを乗り越えて、やっていきたいと思っています。
これからの取り組みとしては、私たちの印刷物は高いかもしれないけれど、安い印刷物よりも売り上げが増やせて、結果として利益が出ますよという商いをしたいと思っています。それには売るためのデザインや仕組みづくり、商品開発に取り組まなければなりませんが、お客様のビジネスパートナーとなれる会社を目指していきます」と語る城野社長は、新たな情報文化の創造にチャレンジしている。

㈱城野印刷所 本社・工場

株式会社城野印刷所

本社:熊本県上益城郡益城町広崎1630-1
TEL:096-286-3366

トップへ戻る