大判もので勝負するためリスロンA37を導入
㈲恒春社印刷所には、東三河の各市町村や各種団体、地元企業などから、あらゆる印刷物の依頼が舞い込む。
「短納期の依頼も多く、5年ほど前から対応力を高めるために、UV機を新たに導入することを考えていました。今の時代、小ロット需要に対応するために、菊半の機械も必要ですが、オフセット印刷業者としては、大判ものが生き残りの鍵。ページものやポスターなど、大判機で刷る必要がある仕事を取っていこうと考えていました」 と語る鈴木社長は、保有していたオフセット機2台を出して、H-UV搭載リスロンA37(A全判4色オフセット枚葉印刷機)を導入する決断をした。
「A全のH-UV搭載リスロンA37にしたのは、菊全とA全の刷版などのコスト差で、H-UVシステムのコストを吸収できると踏んだからです。また、納期を急ぐ案件も多く、データが入ってから翌日納品という案件も結構あります。印刷当日に加工の工程に入らなければならないことを踏まえると、H-UVが適していました」 さらに恒春社印刷所では、A4が8丁付く機械を導入することで、効率よく案件を回すことができる状況にあったことも、決断を揺るぎないものにした。
「リスロンA37は、1台で、これまでの菊全2色機と菊半4色機を併せた性能があり、当社の抱える案件でその能力を生かせる可能性が高く、予定のスペースにも収まり、工場も広く使えるなどの効果を期待しました」
「信頼できる機械」とオペレーターも高評価
リスロンA37の初代オペレーターには、DTP・デザイン課の杉浦氏が任命された。杉浦氏はデザイナーであり、印刷機の操作経験は皆無だった。そして現在は、杉浦氏から新入社員の松山氏に引き継がれている。松山氏は、 「杉浦さんの後ろに付いて回り、指導を受けながら操作を覚えていきました。1カ月ほど前から任せてもらっており、社長や先輩に刷本のチェックを受けた後、出荷するという流れになっています。リスロンA37では、ユポの印刷もしています」 と、自身の成長に自信をのぞかせる。また、先輩の杉浦氏も 「私もリスロンA37が初めての印刷機でしたが、色を自動で読み、合わせてくれるのがよかったです。リスロンA37は、品質を一定に保てる、信頼できる機械。松山君に、安心して任せられます」 と、自信を後押しした。
現在、同社では、リスロンA37をカラーのメイン機、以前から保有していた菊全4色反転機を特色機として使い分けている。鈴木社長は、「リスロンA37は、版替えや色合わせが速い。また、これまでの菊半4色と比べると、そもそも倍の生産力があります。さらに、印刷準備時間が短いため、カラーのロットの少ないものほど効率アップが図れます」 と、導入効果を実感している。
H-UVはインキ消費量が少なくコストは上がらない
リスロンA37の使用インキには、KOMORIのK- サプライインキを採用した。また、ローラー洗浄液、インキローラーのメンテナンスクリーナー、給水ローラー洗浄液、親水化処理液、ブランケットなどの資材も、全てK- サプライ品を使っている。この理由について、鈴木社長は次のように答えた。
「機械は、マニュアルに書いてある通り、あるいはメーカーの言う通りに使うのが一番良いと考えています。最初から独自のやり方をやろうとすると、うまくいかないものです。資材についても、同じKOMORIでそろえるのが間違いありません。機械の操作もそろえる資材も、メーカーの提案通りに実直にやることにしています」 さらに、H-UVシステム導入についてのコスト面は 「吸収できる」 と前述していたが、K- サプライインキについてはどのように捉えているのか。
「以前は菊全判で刷っていたカラーもののほとんどを、リスロンA37+K-サプライインキで刷っていますが、インキの消費量は予想以上に減りました。結果、H-UVインキ採用によるコストアップを最小限に抑えました」 また鈴木社長は、H-UVは、現場の評価も高いという。「製本部門は、折り適正が圧倒的に良いと言っています。パウダーがないため、滑らず、折り機のローラーも汚れず、生産の効率も上がったと高評価です」
「スピードの追求」で存在感を高め全国へ
リスロンA37の導入によって、短納期の対応力をアップさせた後、鈴木社長は、今後の展望として 「さらにスピードの追求」 を掲げる。
「もともと油性の頃から、短納期の対応力を強みとしてきましたが、それが進化し、午後に刷って夕方に加工できるようになりました。顧客に確約はしていませんが、朝イチで刷れば、ポスターやチラシは当日に納品できることもあります。折りや綴じなどの加工があるものも、当日納品ができるようになってきています。2日かかる案件も、初日に刷ったものから、その場で加工に入っていけるため加工工程に余裕ができています」
この短納期の対応力を前面に出し、全国から仕事が取れるような体制を整えて、オフセット印刷業者そして紙加工業者として存在感を高めていく意向だ。
「顧客から、リスロンA37のH-UVで刷ってほしいという依頼もあります。特に断裁面にインキを残したくない案件での指定が多いです」と鈴木社長。H-UVインキをはじめとした資材のK-サプライ品は、棚に整頓され、しっかり管理されている。