長年の夢だったUV機を初導入
㈱コトブキは、2009年に創業者から引き継いだ息子3兄弟の団結により経営されている印刷会社である。長男が営業部長、双子の次男・三男が社 長・工場長、そして社長・工場長の息子たちも同社に従事している。
同社は下町の商業地にある都市型印刷会社であるが、商業印刷をはじめ、オリジナルのパッケージや贈答箱、POPや紙製什器などの企画・デザイ ンから印刷・加工・納品までの一貫生産を得意としている。
渡瀬社長は、「当社は細かいスポットものの仕事、ギフトやノベルティーのオリジナルパッケージなどの仕事を中心に、長年にわたる信頼の下で受注しています」と語る。
社長就任後には、社内一貫生産確立のために、抜き機、サックマシーン、カットマシーンなどの加工機を相次いで導入。しかしながら、印刷については海外メーカーのA全と菊半の油性2色機で、カラー印刷やニスに苦労しながら対応していたという。
「お客様がクライアントの催しやイベントに合わせてパッケージを提案する時にはサンプルが必要です。当社では、お客様の全国の営業所の担当者と打ち合わせを行い、データをやりとりしながらCADで設計、Macでデザインし印刷してパッケージのサンプルを作ります。打ち合わせの翌々日には営業所に届けて、お客様がクライアントにプレゼンをするという流れです。当然、企画力に加えて短納期対応が必要です。印刷は油性2色機で何とかこなしていましたが、やはりUV機でやるのが長年の夢でした」と渡瀬社長は語る。
生産効率が2倍・3倍にアップ
以前から印刷の短納期と品質向上のために新しい印刷機の導入を計画していた渡瀬社長は、UV機の検討を考え始めてKOMORI機を意識したという。同社にとって初となるUV機は、厚紙対応や色の安定性、機械サイズなど他メーカーも含めて検討した結果、KOMORIが優れていると判断して導入を決定。そして、本年1月、菊全にも対応できるH-UV搭載リスロンA37(A全判5色機)を増設している。
渡瀬社長にH-UV機の導入メリットを挙げていただいた。
○速乾印刷で後加工が即時にできるのが最大のポイント。
○パッケージのプロセス4色+ニスが一度でできる。2回通し、3回通しでやっていた2色機に比べて、生産効率は2倍・3倍にもなっている。
○裏付きやキズ、刷り直しから解放され精神的に楽になった。
○短納期でクオリティーが高い。営業も自信を持ってお客様に提供できる。
○標準化したサービスが提供できる。
○全般的に仕事が増えている。
渡瀬社長は、「やるたびに驚きがあります。『こうやってできました』という報告を聞くたびに、導入して良かったと思う」と笑顔で語られた。
印刷の付加価値アップに期待
「標準化した印刷機に感動している」と言う渡瀬工場長に、H-UV機の導入成果について伺った。
「厚紙・パッケージが主流なので、倍胴で安定して印刷することができるKOMORI機は最適です。H-UV機で印刷の付加価値をアップできると大いに期待しています。仕事の幅が広がり、工場環境も清潔になり、社員のモチベーションもアップしています」と、場所の狭い都心の工場にはH-UV機は不可欠だと語る。
同時に採用しているK-Supplyインキについて伺った。
「K-SupplyインキのCMYKの濃度は評価しています。特にC・Mは同じ数値で供給しても他社のものより濃度が出て安定しています。また、パッケ ージの仕事は特色が多く、短納期でロットが細かく、使うインキ量も少ない。そのため油性では社内で特練りを行っていますが、H-UVのインキでも並行して特練りをやっていこうと挑戦している最中です。紙種による色の違いや中間色などを調合しながらいかに色彩を出していくかを研究しています。間違いない特色を出すことをキーポイントに特長のある現場をつくっていきたい。いかにお客様のカスタムカラーの適正なインキを作りながら管理していくかが、これからの課題です」と語られた。
渡瀬守機長に使い勝手を伺うと、「H-UV機は初めてですが、KOMORIサービスで易しく教えてくれますし、機械もメンテナンスしやすい設計になっていて、オペレーションに不安はありません。薄いものも厚いものも紙の通りがいい。エア調整も細かくできて、エア抜けがない。静電気除去もしっかりされています。カラーバーで濃度を数値管理できるようになったのは大きな違いですね。H-UV機と油性2色機を比べると天国と地獄、まるでタイムマシーンに乗ったような感覚で動かしています」と、H-UV機で気持ちがすごく楽になったと語る。
基礎がしっかり定まった会社へ
渡瀬社長に今後について伺った。
「H-UV機のメリットをフルにアピールしていますので、新たなお客様や仕事もさらに増えていくと考えています。当社は企画してものを作る会社です。1日や2日でパッケージサンプルができる印刷会社はあまりないと思います。さらに今後は、ディスプレーやPOPに多い蒸着紙やPETなど特殊紙への印刷も進めていきます。そして、墨田区のこの場所でパッケージやPOPなど企画から加工まですべてこなして、基礎がしっかり定まった会社にしていきたい」と語る。渡瀬社長は、お客様の要望に応え続ける会社づくりを目指している。