2020.10

東京リスマチック株式会社 様

e-Mistで印刷にまつわる静電気トラブルを解消

  • 岩戸 遥平
    西台工場工場長
    岩戸 遥平 氏
  • 山川 喜弘
    印刷統括
    山川 喜弘 氏

乾燥が続く時期は静電気との戦い

東京リスマチック㈱の西台工場には、表面加工、箔押し加工、シルク印刷など、付加価値印刷や紙器加工を伴う印刷が集まってくる。
同工場で、業務改善のポイントとして挙がっていたのが、静電気トラブルだ。
「冬場など乾燥が続く時期は特に、静電気と戦いながら仕事をしています。静電気の影響で紙が途中で止まってしまったり、デリバリーから出てくる刷本の紙揃いが悪くなるため、静電気に注意しながら積み替える作業を行ったりと、苦労を強いられていました」 と、岩戸工場長。特にクリアファイルや塩ビ、PETなどの化成品は、原反が工場に運ばれてきた段階で静電気を帯びていることもあり、1日室内に置き、状態を確認しながら進めていくのが常だった。
静電気トラブルの解決策を探る中、KOMORIからe-Mist(微粒子加湿型 静電気抑制装置)の紹介があった。e-Mistは、フィーダー部に取り付け、用紙に超微粒子ミストを直接吹き付けることで、用紙の湿度を上げて静電気の発生を抑制する装置だ。
複数の解決策がある中、e-Mistを選択した理由を、岩戸工場長は 「除電に限らないことですが、機械が素晴らしくても、それを使いこなせなければ、効果を得られません。当社は、多能工による当番制を採用していることもあり、機械の導入時には、技術的なハードルが伴います。e-Mistは、シンプルな機能であり、『オン』 『オフ』 の操作だけで効果が得られるため、オペレーターも抵抗なく導入できました」 と説明する。


テスト運用で明確な効果が数値として明らかに


2020年1月からe-Mistをテスト運用し、検証を開始した。
「静電気測定器で測ると、化成品の印刷前は1000ボルト〜3000ボルト程度。2000ボルトを超えると、印刷としての適性が失われます。1〜2月に2000ボルトを超えているものにe-Mistを試したところ、1000ボルトを切る数値に落ち着きました」
品質管理チームとの導入検討の場では、静電気トラブルが収まる夏場にも効果が見られるようなら導入することも議論された。
「さらに検証を重ねていくと、e-Mistによって、刷了後の帯電量が抑えられることも分かりました。e-Mistなしの場合、刷了後に静電気量が1500ボルトだったのが、時間経過とともに3000ボルト近くまで上昇するケースがありましたが、e-Mistありの場合、静電気量はほとんど増えませんでした。4時間後の比較では、e-Mistなしは約1・5倍、e-Mistありは約0・9倍となり、『e-Mistは後加工適性を向上させる』 という結論に至り、導入が決定しました」


時間的な制約が取り払われ、オペレーターのストレスも軽減


導入後、現場においても、目に見える効果がすぐに出た。
「一番の悩みだったクリアファイルは、デリバリーで出てきた時に、揃える作業が必要でした。e-Mist導入後は、きれいに角が揃った状態で出てくるようになり、その後の工程での作業効率が違ってきました」
他にも、e-Mistによって、化成品で片面を2回通す場合、1度印刷した後、1晩寝かせて、翌日に静電気が取れてきたタイミングで、フィーダーに載せて2回目を通していたのが、「導入後は、日勤早めに1回通し、夜勤で2回目を通せるようになりました」 と、岩戸工場長。
さらに、表面加工を委託している協力会社からも 「『静電気の対策を何かされました? 最近、紙が流しやすく、作業しやすいです』 と尋ねられました。当社だけでなく、協力会社のオペレーターの負担(ストレス)が軽減されたことも実感しています」。ランニングコストについては 「実質的な負担はあまり変わらず、納期に対する余裕などで、すぐに回収できると思います」
e-Mistによって、これまで抱えていた静電気トラブルを大幅に減らすことに成功した東京リスマチック。岩戸工場長は、「品質と安定感を持って、さらに効率のよい生産を大前提とし、e-Mistを活用して、今後新しい素材に対する提案にも積極的に関わり、営業に対してもアナウンスしていきたい」と、展望を描いている。
フィーダーに装着されたe-Mistは、印刷機が回っている時だけ作動する設定で、操作はオン・オフのみ。

東京リスマチック株式会社

西台工場:東京都板橋区舟渡4-4-27

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