1980年創業の株式会社ミニカラーは、デザインから物流管理までワンストップで対応している。多品種小ロットの短納期生産という最大の強みを強化するため設備刷新を進めており、2019年にLITHRONE G37Pを導入し、印刷工程の生産力を大幅に向上※。さらに今回、MBO K80(B1サイズ コンビネーション紙折機)とMBO T800.1(B1サイズ バックル専用紙折機)を導入し、後加工工程を含めた改革を推進している。背景や導入効果について、大岡剛社長、常務取締役埼玉工場長の黒木秀夫氏、副工場長印刷部部長の田中哲也氏、オペレーターの高橋秀明氏と菅野夏美氏にお聞きした。
製本の多能工化を大幅に促進する2台のMBO機
「『他社が避ける多品種小ロットの短納期を率先してやることに価値が生まれる』 と、創業時に父が掲げた考え方は、当社のビジョンとして定着しています。現在も最も大切な仕事は、多品種小ロットの短納期ものです」。2020年に㈱ミニカラーの2代目社長に就任した大岡社長は、経営戦略をそう話す。
同社は商業印刷をメインとし、パンフレットやフライヤーなどさまざまな品目に対応。印刷から製本・中綴じまで一貫体制で製造している。2022年には老朽化した折り機に替わり、冊子ものと特殊な折り加工に対応できる、MBO K80とMBO T800. 1を導入した。
「多品種小ロット短納期生産への対応力を強化する近道は、誰でも機械を取り扱える環境を整えることです。そのために直感的な操作性に優れ、多能工化を進められるMBOの折り機(以下MBO機)を選びました」 と大岡社長。導入の決断には 「利益を上げていくには、リードタイムの短縮と少人数の生産体制で生産を最大化し、内製化率を高めていくことが重要。その観点でも、MBO機が最適でした」 と話す。また黒木常務は、「多彩な折りの受注が増えてきて、羽根が多くなる仕上げ折りなどを内製化したいという思いがありました」 とその理由を明かす。
7〜8割を内製化
時間単位の生産能力は約2倍に
導入から2年、大岡社長は 「工場内で対応できる商品の幅を広げていく中で、MBO機は大いに活躍しています。内製できる折りのバリエーションが増え、商材数が増えたことは、提案力向上に直結しています」 と効果を語る。仕上がりについても、「非常にきれいで、お客様にも精度の高さを実感していただいています」 と評価した。
現在、外注の7~8割を内製化できている。黒木常務は 「外注費を大幅に削減できました。また、折り機は3台から2台に減りましたが、3台以上の生産性を実現できています。折り機が2人体制になったことで人材を有効に配置転換できました。自動化により多能工化も進んでいます」 と話す。
内製率の向上に、大きく寄与しているのがMBO機の作業性の高さだ。高橋氏は 「手動でやっていた羽根の調整がタッチモニターで操作できることに加え、スリッターシャフトがカセット構造になっていて、引き出すことで簡単にスリッターやミシンの位置決めができます。準備時間が短縮されるだけでなく、重量作業も軽減、取り扱いやすくなっており、オペレーターに負荷をかけにくい構造になっています」 と話す。
「セット作業の際の、ロールの圧調整や折りの羽根の調整手順が自動化されていて、経験の浅いオペレーターでも扱えます」 と黒木常務。さらにMBO K80について 「A4・16ページなら、時間1万~1万2000部。A5仕上がりの二つ折りであれば、時間2万~2万5000部で折ることができます」、MBO T800. 1については、「両観音折りのセット作業も1時間から40分に短縮できました。生産速度も1時間に4000~5000部だったのが8000~1万部まで上がっています。DM折りも、7000部から1万2000部まで上がりました」 と、導入効果は数字でも明確に表れているという。
左:MBO K80、右:MBO T800.1「高性能の高速稼働で、従来の生産数を大きく上回っています」(黒木常務)
「0日納期」を実現したLITHRONE G37Pとの連携
LITHRONE G37P(A全判8色刷反転機構付)は、導入から5年が経ち、主力機械になっている。「小ロットの中綴じ冊子であれば、最短で夕方注文、翌日午前中納品の 『0日納期』 で対応しています。これも同機だからなせる業です」 と大岡社長。さらに田中部長は、「切り替え時間は平均で2~3分短縮され、最高1万5000回転の速度で印刷できています。これもPQA-S(インライン品質管理装置)が高いレベルで品質を維持し、PDC-SX(分光式色調管理装置)が色調のブレを抑えてくれるからです。他の機械にも取り付けたいと考えています」 と、高く評価。さらに、同機とMBO機の連携については 「後工程にMBO機の折りが続く場合は、裏出ししたり針決めしたりと、能力を生かすために工夫しています。今は刷り本置き場に滞留がなくなり、生産能力の高さを感じます」 と、相乗効果を評価する。リスロンG37P機長と田中部長。
「今後、KP-コネクト プロを活用し、受注からの管理で仕事の隙間が一目で分かり、調整がしやすくなることを期待しています」(田中部長)
都内近郊においていち早くスマートファクトリー化推進
最後に大岡社長は、「多品種・小ロット・短納期は、今、時代のニーズになっています。より速く、より美しい印刷物を提供していきたい。そのために、KP-コネクト プロを活用し、折り機と中綴じ機をデータマネジャーと連携させることで、稼働状況の見える化を図っていく。工場は都内近郊でスペースに限りがありますが、それでもスマートファクトリーを実現できると考えています。KOMORIは、MBO機に関しても、使い勝手の要望などに誠実に対応してくれます。説明も丁寧で、われわれ経営陣も現場のオペレーターも信頼しています。今後も顧客に寄り添ったサポートを期待しています」 と語った。
加工部門メンバー。「MBO機導入を機に、後工程の生産ラインを同じフロアにまとめました。横の動きを大幅に削減したことで、非常に効率が上がりました」(黒木常務)
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■製品情報:紙折り機・MBOシリーズ