アドバンスモデル導入で生産性が30〜40%アップ
導入機について中谷社長は「老朽化したUV機2台の更新を考えていたところ、最新のアドバンスに魅力を感じて導入を決めました。その結果、当社は小ロットで特色の仕事が多いので、アドバンスの自動化により準備時間を大幅に短縮できたことが、非常に大きな効果を発揮しました。KHS-AIなどの印刷システムを使った色合わせの早さは圧倒的で、従来機より生産性が30~40%アップしました。今回導入した新台2台で仕事がどんどんさばけるので、さらにもう1台、老朽機に引退してもらいました」と話す。
アドバンスの高い生産性により、既設機3台からアドバンス2台への設備更新となった。これは現行の生産設備を効率の高い設備に集約し、従来以上の生産性を生み出すダウンサイジングの成功事例といえるのではないだろうか。
また、オペレーションについて白澤機長は「何でもボタン一つです。ジョブの設定やフィーダーの各部を自動で合わせてくれるので非常に楽です。紙くせの強い紙なども通しますが、給紙で止まることはなくなりました」と語る。取材時にも、最高速度16500回転で印刷しているところを実際に見せていただいた。
多面付け印刷の品質安定性
従来機は測色計もなくオペレーターが感覚で色を調整していたので、苦労していたという。白澤機長は「リピートの仕事でも、KHS-AIのプレインキング機能で色を立ち上げてくれるので、1回目から正確な色が出ます。仕事によっては2回目でOKになり、試刷り枚数的にも大幅にムダを減らすことができました」と話す。
またパッケージ印刷では、用紙に対して最大限面付けをすることが生産性に直結する。それには用紙全面にわたって色調が均一であることが必要な条件となる。白澤機長は「従来使っていた機械では、咥えと尻で色が合わないことがありました。新台はこのような面内ムラで悩むことがなく、しかも刷り出した後もずっと色が安定しています」
KOMORIはユーザーからよく問われるリピートジョブの色再現精度を高めるための開発を進めてきた。KHS-AIのインキ膜厚形成プロセスや、色出し精度に影響を与えるインキキーの構造、給水装置コモリマチックの左右均一で薄い水膜供給技術なくしてこの結果は生まれなかったであろう。
LED-UVで消費電力を大幅削減
同社は今回LED-UVを採用した。中谷社長は「UV機の消費電力は、油性機の3倍近くかかります。建屋ごとに消費電力モニターを設置して監視していますが、LED-UVではUVと比べ明らかに数値が下がっています。LED-UVは即時に点灯・消灯できるため、待機電力削減の効果も出ていると思います」と語る。
パッケージ向けLED-UVの資材選定には注意が必要である。同社は、LED-UV用の各種資材をテストして印刷性能を確認した結果、K-サプライインキ〝KG-914〟を採用した。白澤機長は「このインキは水負けもなく、墨も濃い色が出せます。また、マットOPニスも乾燥性がよく、マット感もとても良いです」 と語り、乾燥性の課題も解決している。
K-サプライシリーズは、KOMORI機の性能を最大限に発揮するように開発された印刷資材で、高品質と印刷安定性を両立する。KOMORIは印刷のトータルサポートにも力を入れており、印刷機だけでなく資材、メンテナンスを含めてユーザーの生産性を支援している。
アドバンスを中心に小ロットのパッケージ印刷を極める
アドバンス機の評価として、中谷社長は「結果として、非常に良い導入になりました。新台の生産効率アップで機械台数をさらに1台減らせた上、消費電力も大幅に削減できました。今後はさらにメンテナンス面でオペレーターを育成したく、引き続きKOMORIのサポートに期待しています」と語る。
今回の2台の導入では、生産効率を上げにくい小ロットのパッケージ印刷において、アドバンス機の性能とダウンサイジングの効果が生産性と利益向上につながることを実証できたといえる。
いま世界的な〝脱炭素社会〟への流れにより、印刷会社も各業界のブランドオーナーの動きに合わせた対応が必要になってきている。効率を上げて生産性を向上させることは、CO2排出量の削減にもつながる。KOMORIはさらなる技術革新に取り組み、印刷会社のみならず印刷業界の発展に貢献していきたい。
上:導入されたリスロンG40アドバンス5色機と中谷印刷紙工の皆様。左:KOMORI機の性能を最大限に引き出す印刷資材 K-サプライシリーズを使用。
右:食品が直接触れるパッケージの例。衛生面の管理が重要。