封筒とオンデマンドの融合で市場を広げる
㈱日照堂は、お客様の様々な要求に応じてオリジナル封筒を生産する印刷製袋会社である。「主役は封筒の中身だが、封筒は薄物のパッケージだ」と追分社長が言うように、封筒は多様な用紙を使用し封筒全面に広告を入れて中身のアピールができる。そのためオリジナル封筒の印刷は、特にコーポレートカラーなどの特色や、カラークラフトや更紙、特殊紙など数百種類に及ぶ用紙への対応が重要である。
オンデマンド印刷を模索していた追分社長が、昨年、新発売のデジタル印刷機Impremia C70に出会った。
「びっくりするくらい色の仕上りが良かった。オフセットではあり得ない色が出るのに驚きました。どのくらいオフセットに近づいたかではなく、別物だと思いました。封筒とオンデマンドの融合の可能性を感じ、さらに市場を広げていけるのではないかと実感しました。まさに封筒の歴史の中で、このImpremia C70はトップスリーに入るビッグサプライズになります」と、追分社長は出会った時の印象を語られた。
KOMORIのImpremia C70だから安心感が違う
そして昨年10月、Impremia C70を導入している。その導入理由を伺った。
追分社長は、「他社機とも比較しましたが、印刷のノウハウが通じるKOMORIだから安心感が違います。例えば、『特殊紙でもちゃんと定着しますか』と聞くと『すぐにテストしましょう』と、10種類くらいの紙で作った無地の封筒と絵柄を支給すると、1週間で印刷サンプルを作って持ってきてくれました。OA機器メーカーでは印刷用語がなかなか通じませんが、KOMORIは印刷が分かっているので話が早い。当社は印刷会社なので、そこが最大のポイントです。素早い対応などKOMORIの情熱が当社とマッチングしました」と語られた。
さらに、機種選定から導入まで関わった折笠部長は、「光沢があるので絵柄が映える、パソコンが苦手でも操作できる、それが最初の感想です。導入や印刷品質に対しての不安は一切ありませんでした。課題はオフセットとの色の差ですが、これも調整でクリアできることも分かっていましたから、いい機械を導入したと思っています」と語られた。
Impremia C70でお客様のメリットを追求
お客様へのオンデマンドのメリットについて追分社長にお聞きすると、「オリジナル封筒の小ロット印刷に関しては、お客様に『オンデマンドでやるともっと安価に短納期で提供できます』ということを提案しています。例えば、今までオフセットで支払っていた金額より2割・3割安くなれば、お客様は嬉しいですよね。これは今までのマーケットの見直しになります。また、単色や2色で作っていたお客様には、『オンデマンドでは同じ価格でカラーの封筒ができますよ』という提案ができるようになります。さらに、封筒の加工方法など独自のノウハウで様々な提案をお客様に提供したいと思っています」と答えられた。
すでに仕事を受注しているお客様からは、「オンデマンドっていいね。綺麗だね」と驚きの声が上がるという。
綺麗な刷り上がり、鮮やかな色を再現
オフセット印刷に長年携わってきた中野室長は、「オフセットは印刷の最高峰という考えでしたから、オンデマンド機に興味はありませんでした。品川の展示場で刷り上がりのサンプルを見た時も、展示機なので『綺麗に刷れて当たり前だろう』と信用していませんでした。しかし、Impremia C70の導入後、自分で出力してみて、その素晴らしさに驚きました。そこからオンデマンドをいかにお客様にアピールするかに気持ちが180度切り替わりました」と語る。
お客様へのアピールについて中野室長に伺うと、「先ずは、短納期に対応できる。乾きの問題がない。朝に受注して用紙があれば夕方には納品できます。それにオフセットでは色が沈む茶封筒のような紙や表面が凸凹した用紙でも、Impremia C70では鮮やかに色が再現できます。オフセットより色が鮮やかに出てしまうことは逆に弱点とも言えますが、逆手にとって『オンデマンドでやれば、綺麗ですよ。小ロットには最適ですよ』とお客様にはお話しています」と語られた。
オフセットでなければできない案件、例えば、起伏の激しい紙などは目地の中にインキが落としこめないためオフセットで刷るようにしているという。
「印刷会社はお客様に感動していただいて喜んでいただくことが第一、そういう姿勢で取り組んでいます。お客様にImpremia C70のサンプルを持って行くと、皆が『わーっ、綺麗』と言います。『良くないね』と言われたことはありません。オンデマンドも喜ばれるレベルになりました」と中野室長は語る。
新たな商品づくり、ビジネスモデルの構築へ
最後に、追分社長に今後の展開について伺った。
「印刷と製袋の両方のスキルを持っている会社は数が限られています。だから封筒市場ではコスト競争に入らずに、当社の強みを活かしながら、他社に真似のできない商品づくりやビジネスモデルの構築を行いたいと思っています。名刺やハガキには着手していますが、オンデマンドだからこそできるビジネスは色々考えられます。例えば、不特定多数の人たちに提案できるBtoC事業は大きな市場です。ヨーロッパでもギャング印刷での成功例や新しいインクジェット印刷など、進化が続いています。これからはオンデマンドにはオンデマンドの市場が生まれ、オフセットにはオフセットの良いところが残り、市場が二分化していくのではないでしょうか。そして今後、さらにITが進み、世の中がデジタル化して行くなかで、お客様が何を望んでいらっしゃるかを感じ取るのはアナログである人間の感性、ということも大切なファクターだと思います」と語る追分社長は、新たな可能性に標的を定めている。