お客様の信頼に応える仕事を継続することが大事
龍成印刷㈱は、創業時の祖父の代からのお客様である鉄道会社とアパレルメーカーの仕事を、83年という歳月を経た今でも継続している。時代の変化に臨機応変に対応してきた同社には、お客様や仕事仲間の信頼に応え続ける仕事へのこだわりがある。
牧戸社長は、「当社には、乗車券やチケットを印刷していたという信頼感があります。どんな印刷物に対しても校正を義務化しており、複雑なものはチェックミスがないか第三者の目でも校正を行うようにしています。そして、当社ならではの印刷技術やノウハウで印刷を行い、納期を厳守して納めることを大切にして仕事をしています」と語るように、仕事へのこだわりがお客様の安心と信頼につながっている。
鉄道関係の乗車券などの仕事は、10数年前までは売上の9割以上を占めていたが、デジタル化・IT化など情報伝達の変化により今では2割以下に縮小している。一方、アパレルメーカーの仕事は、10年くらい前から百貨店向け販売戦略の一環として展開しているダイレクトメールの受注が大きく伸びているという。
Impremia C61で"早く・きれいに・確実に"
「お客様のニーズに合わせて導入しています」と言う牧戸社長に、Impremia C61の導入経緯を伺った。
「アパレルメーカーは全国の百貨店で高級紳士服の店舗展開を行っています。10年ほど前に紳士服のレディーメードからイージーオーダーやオーダーメードを主流にした販売方針に切り替えました。これを機に、百貨店ごとにピンポイントの販売促進としてダイレクトメールを展開することになったのです。当初は凸版や軽オフ印刷で行っていましたが、納期や品質への要求もだんだん高まってきて、7年前にPODを導入して対応してきました」と語る。
本年4月、値段よりも"早く・きれいに・確実に"というお客様の要望に対応するために、既設のPODと入れ替えて、Impremia C61を導入している。 導入理由を伺うと、「以前からKOMORIのオフセット印刷機を使っていますし、デジタル印刷機も同じメーカーであればメリットも期待できます。また、封筒の4色フルカラーが一発で出力できることも大きな要因でした。『お客様のため に、この機械を入れました』と、アパレルメーカーにもはっきりと言いました」と牧戸社長は笑顔で語られた。
印刷スピードは格段に速く、色の再現性も抜群
同社では、Impremia C61の仕事は、ハガキ・封筒の印刷がメインで、ほぼ90%を占めているという。
牧戸社長は、「一番多い仕事はアパレルメーカーの百貨店向けDMハガキです。通常、データが毎日午前中に届きますが、それをしっかり校正して、その日の内に全種類を出力、翌日に断裁して発送するようにしています。枚数は百貨店ごとの顧客名簿によりますが、1点当たり50枚~ 2,000枚です。従来機に比べると、印刷スピードは格段に速いですし、色の再現性は抜群に良くなっています。それに多品種小ロット印刷のムダやロスがなくなりました」と語る。
奥出工場長は、「ハガキは用紙幅を最大限に活用するために、菊四に8面付けして表裏を一気に出力しています。規格物で用紙もセットしているので、表裏を合わせてしまえば簡単に出力できます。以前はマット紙に刷ったような感じでしたが、今はミラーコートに刷ったような感じで、印刷品質には満足しています。従来機で生じていた表と裏の見当のズレや用紙が内部で詰まる事故もなくなり、作業効率が格段に向上しました。それに、トナーのボトルが大きくなり、さらに前から交換できるので作業が楽になっています」と語る。
封筒のカラー印刷、内製化と仕事のパイが拡大
「封筒印刷の内製化が一番大きな効果です」と言う牧戸社長は、「封筒のカラー印刷は当社にとって非常に大きなメリットです。例えば、お客様のデータ送付忘れに対応した事例で、昼過ぎに両面カラー長3号カマス封筒2,000枚のデータが送られてきて、当日の印刷・発送に対応しましたが、お客様から感謝の言葉をいただきました。お客様が本当に求めているのは"時間"です。『何とか早くやって欲しい』という要望には、Impremia C61があれば本当に心強いですね。今までは絶対に対応できなかった印刷も内製でできるようになり、仕事のパイが大きく広がりました。おかげさまでオペレーターの負担が増えましたよ」と笑いながら語られた。
奥出工場長にその他の印刷について伺った。 「一般的なバリアブル印刷はやっていますが、DMハガキについてはお客様の個人情報の面からバリアブルはやっていません。ナンバリングについては、例えば枚数が多く列ごとに席数が変わるような劇場のチケットなどはImpremia C61が最も適しています。セキュリティー対策が必要なナンバリングは活版印刷で行うなど使い分けています。」 牧戸社長も奥出工場長も、「本当に入れて良かったと実感しています」と語られた。
新たな可能性の追求と深耕作戦で信頼の継続を
牧戸社長に今後の取り組みについて伺った。
「百貨店業界に関しては、お客様の心をつかむピンポイント情報やサンキューレターなど販売促進用のグッズはますます多様化してくると思います。それに対しての準備をしておく必要があります。これからは若い人達が新しいビジネスモデルやネット活用のパーソナルユースなどを考えることで、新たな可能性が広がっていくと思います」と話す一方、「営業領域を広げて売り上げを伸ばすのもいいかもしれませんが、お客様の考えを汲み取ってお互いにコラボしながら、お客様の畑を深く耕し、良い作物を収穫していくような"深耕作戦"で、揺るぎない信頼を築いていく取り組みも経営力の一つだと思います」と語る牧戸社長は、企業の宝である信頼の継続を大切にしながら、新たな仕事の可能性を追求している。