生産体制の改革を進める中課題が浮かび上がった
2014年に一層の高集積化と高効率化を実現するために、本社工場を瑞浪工場へ移転した新日本印刷㈱。移転時にH-UV搭載リスロンG40(菊全判5色機、コーター付)を導入し、油性に代わりUV印刷を開始。併せて、KPM年間パックを採用。2年後にはH-UV搭載リスロンA37(A全判4色機)を増設し、現在はこの2台に輪転機を加えた4台が稼働している。商品カタログの制作が主力であることもあり、ポストプレスの設備投資も積極的に行っており、2005年には無線綴じを内製化。2016年には中綴じを増強するなど、企画制作から製本までの一気通貫による競争力を高めている。
現在、横田工場長を中心に、先を見据えた体制改革を進めている。
「究極の目標は、印刷もでき、製本もできる 『人財』 を育成することです。今回、断裁機が老朽化し、新機導入を契機にマルチプレーヤー(多能工)育成促進に向けて、安全面を最も重視し、誰でも使いやすい断裁機を慎重に選択した結果、アプリシアCT115(菊全ワイドプログラム油圧クランプ断裁機)の導入を決めました」
アプリシアCT115の精度は高い品質のベースになっている
藤原課長は導入効果について、「後加工の品質のベースは断裁機の断裁精度です。アプリシアCT115の高い精度は、オペレーターの技術や経験を生かしてくれ、製品のクオリティーにつながっています」 同社ではクオリティーを保つため、オペレーターに1回の断裁量の判断、許容を与えている。
「これには、2つの見方があり、経営層の視点で見たとき、〝安かろう、早かろう、悪かろう〞では次につながりません。もう1つは、作業者の視点として、次の受注のことを現場が考えて製作することで、モチベーションの向上にもつながります」 と話す。
断裁のオペレーターである久野主事は、アプリシアCT115について〝動きが速い〞と評価する。「バックゲージが動くのが速く、紙を入れたら寸法が決まって止まっている分、速く作業ができ、特に大きい紙を断裁するときに効果を発揮しています」。また 「センターベルトが無く刷本の汚れを気にしなくていい。ほこりもたまりにくく、紙を動かした時に紙寄れが発生しない」「包丁を交換するときの治具が刃を覆い隠すため安全」 などを挙げる。さらに「クランプの圧がデジタルで細かく調整・管理できることが助かっています。圧の設定値は経験によりますが、一度定めてしまえば、次も、他の人がやっても、同じように作業することができます」 と、アプリシアCT115の、デジタルによる操作性を実感している。
今後について、横田工場長は 「断裁機単体ではなく、工場の自動化や 『人財』 育成は、労働力が不足していくであろう観点から進めていかなければなりません。喫緊の課題として 『見える化』によって、印刷も断裁の稼働もデジタル化し、全社的に改善していく構想が必要と考えています」