takanagインプレミアIS29で新しい事業領域をつくる
6台の輪転機と2台の枚葉機を保有し、チラシ、ポスター、カレンダー、パンフレットの印刷を事業の中心に据えてきた㈱総合印刷髙永は今、業態変革の真っただ中にある。
「広告代理業務やインターネットのホームページの販売・管理・運営業務など、複数の事業ドメインを持っているが、本業の商印・オフセット印刷が、新聞の購読の激減などを背景に先行きが不透明になっています」 と話す髙永社長。
これまで取り組んでこなかった新しい分野への挑戦を 「産業革命」 と位置付け、まずデジタル機で挑戦することを決意し、「チラシ・紙媒体の髙永」 から 「デジタルの髙永」 へと、変革の舵を切った。
「大ロットの紙の印刷は得意だが、デジタル印刷機でのシールやPET素材の印刷は未経験でした。この新しい分野への挑戦を本格化するため、『デジタル事業部』 を設立しました。〝未経験〞とはいえ、ゼロからのスタートではない。創業以来大手スーパーマーケットのチラシ印刷で培ってきた、品質や、納品までの一貫した流れの管理のノウハウが生きると考えています」
デジタル事業部は、西坂常務執行役員をトップに就け、若手を中心に構成。デジタル機を使った新しい事業領域をつくり出すのが、最重要ミッションだ。また変革の中心には、インプレミアIS29(29インチ枚葉UVインクジェットデジタルプリンティングシステム)を据えた。
「UVで両面機、色域の広さ、B2まで対応している点から、インプレミアIS29を選びました。導入に先駆けて、KGC(小森グラフィックテクノロジーセンター)でタックシールのテストを実施し、問題ないことを確認しました。輪転機とのカラーマッチングも最高によかったし、他にもさまざまな商材のテストを行い、その結果を見て2台導入することを決めました」
ユークリッドと合わせて活用しパッケージやシールを内製化
2台のインプレミアIS29と同時に、ユークリッド(デジタルカッティング&クリーシングシステム)日本初号機も導入。現在、若手の女性からなる商品開発部門が、両機を活用してさまざまな試作に取り組んでおり、髙永社長は 「日々の経験の積み重ねが当社の財産になります。オンラインショップも立ち上げて展開し始めました。デジタルを生かす商品を開発して売っていきたい」 と期待する。
インプレミアIS29の日々の運用については、パッケージやシールなど、外注していたメニューや販促物を内製するようになった。
「0・06〜0・6まで紙厚適性があり、ユークリッドと組み合わせることで、さまざまな案件を取り込めます。校正機としてではなく、あくまで色域の広さ、バリアブル、厚紙対応、紙以外の素材への対応など、インプレミアIS29でしかできないことを探していかなくてはならないと考えています」
機構については、「フィーダー・デリバリー部は、KOMORIの枚葉機の知見と技術がつぎ込まれているので、安心。両面印刷も色も安定しています」と評価。さらに 「最新の枚葉機や輪転機は技術の進化が素晴らしいが、一人前のオペレーターを育てるのに5年程度かかります。インプレミアIS29は、少しのトレーニングで誰でも簡単なボタン操作で1枚目からOKシートが出せます。人手不足の問題、技術継承の問題がますます大きくなっていく中、絶対に必要な機械です」 と、人材確保における効果も期待する。
現場のオペレーターは、どのように評価しているのか。同機を担当するデジタル事業部の奥村主任は、次のように話す。
「タックシールとPET素材のシールなどの印刷テストをしていますが、UVの速乾性の高さを実感し、短納期化できることを期待しています。また、RGBの全てには対応できてはいないが、オフセットインキよりもはるかに色域が広く、あまりにも色がきれいなので驚きました。これまで当社で刷れなかった印刷物、PETやプラスチック、キャンバス生地、布地など、これまでにない商品をつくることで、会社の発展につながると思います」
インプレミアIS29で刷り、ユークリッドで抜いた試作品。
5年で業態変革を形にして次世代にバトンタッチ
髙永社長が進める業態変革は、まだ始まったばかりだが、インプレミアIS29とユークリッドの導入により着実に歩みを進めている。
「インプレミアIS29とユークリッドを使った実際の仕事もすでに始まっているが、来年が勝負です。BtoB、BtoCの新たなビジネスモデルをつくっていきたい。従来の当社は大ロットの商品を扱ってきたが、これからはデジタルを生かすバリアブル、小ロット、短納期の生産力を確立して、ニッチな分野にも挑戦していける夢のある機械です。しかし、小ロット・バリアブルでジョブ数をこなしていかなければ利益が出ないという課題もあります。簡単ではないが、やっていかなければならない。次の世代に安心してバトンタッチできるよう、ここ5年必死で進めていく。それが私の仕事です」 と、新分野への意欲を語った。
インプレミアIS29とデジタル事業部のメンバー。入社3年目と今年入社の女性オペレーターが活躍している。「 インプレミアIS29はクリーンで、従来の印刷が持つイメージは皆無です」(髙永社長)。
[関連情報]
■製品情報:インプレミアIS29
■ソリューションサイト:インプレミアIS29
■製品情報:Highcon ユークリッド
■ソリューションサイト:Postpress by KOMORI(Highcon)