「発想から発送」までトータルプランニング
「オフセット印刷では、日本専売公社(現JT)の包か用紙、封いん紙の印刷から、国鉄(現JR)のキャンペーンB全ポスターや官公庁の観光ポスター、パンフレットなど、全てKOMORI機を使って手掛けてきました」
そう語るのは、4代目となる東北紙工㈱の村上良雄社長。昭和35年入社後、同社の事業の推移を肌で感じてきた。
「紙媒体は減少傾向にあるものの、市場にはまだまだ仕事があります。仕事の環境が変わる中、社会にどのように貢献していくかを考えています。大手製菓メーカーとの取引があったグラビア印刷が一番伸びました。地元・仙台のお菓子メーカーとの付き合いも長く、パンフレットやパッケージから、箱の中に入れるしおり、お菓子を包むグラビアの袋、包装紙まで、トータルプランニングしてきました。『発想から発送』 までを一貫して行えるのが、当社の強みです」
リスロンG44の導入で2台のUV機を使い分ける
オフセット印刷機1台と打抜機1台が更新のタイミングになり、今年1月にH-UV搭載リスロンG44(四六全判5色オフセット枚葉印刷機)、5月にアプリシアDC105(菊全判寸延自動平盤打抜機)を導入した。
「今後の戦略や使い勝手を考え、オペレーターの意見を取り入れて機種を選定しました」 と村上社長。仙台工場の村上工場長は、「朝に原稿が入り、夕方に納品する案件なども多く、UV対象となる納期の仕事は全体の5割にまで達しています」 と、UV対応機を切望した。同社では、すでにリスロンS40(菊全判5色オフセット枚葉印刷機)が稼働しており、リスロンG44の導入によってUV2台体制となった。
村上工場長は、「従来は、菊全UVのリスロンS40に、薄紙から厚紙まで短納期ものが集中していました。今回、リスロンG44を追加したことで、リスロンG44は薄紙、リスロンS40は厚紙と、仕事を振り分けられるようになりました。一台で薄紙から厚紙まで印刷すると爪の調整などが必要でしたが、振り分けたことにより生産性が高まっています。パウダーレスのため、後加工に入れるタイミングも早くなり、次工程の製本にスムーズに回せるメリットもあります」 と導入の効果を実感。H-UV印刷担当の森谷課長代理は 「PDC-SXの色調管理と自動見当装置で作業効率がかなり上がりました。油性と比べて速乾であるため、上がり面を返す時など作業時間を短縮できています」 と語る。また、機械立ち上げから、K-サプライインキを使用。
「KOMORIのインキは湿し水、エッチ液の相性が良く、色がスムーズに出る印象です。予備紙やヤレもだいぶ減りました」 と、森谷課長代理は高く評価している。
薄紙からE段まで幅広く対応アプリシアDC105
一方、アプリシアDC105を選んだ理由について、村上工場長は 「将来的に印刷から後加工までの一貫した管理体制を築きたいと考えていました。そこへKOMORIが明確なビジョンを提示してくれたことから、アプリシアDC105の導入を決めました」 と語る。さらに 「KOMORIのサービスは、少しの不調でも来てくれます。資材を持ってきた時に機械も見てくれ、機械を見に来た時に資材も確認してくれます。その対応への安心感も決め手の一つです」 と続ける。現場の評価は、どうだろうか。パッケージ課の狩野課長代理は、「アプリシアDC105は、リスロンS40と組み合わせてラインの効率化を図っています。以前の機械は、幅広い紙厚には対応できませんでしたが、アプリシアDC105は薄紙からE段まで対応しています。フィーダーの紙のさばきがよく、2枚止めで停止することも少なくなり、機械の停止時間はほぼなくなりました。そのおかげで、機械の稼働時間が増えました」。また、アプリシアDC105の機長である板橋係長は、使い勝手を次のように述べた。
「フィーダー・打ち抜き・ストリッピング・デリバリーの基本的な仕組みは、従来機と一緒で、導入時の操作の戸惑いは少なかったです。フィーダーに関しては、最初のうちは、2枚止めの板バネの掛け具合やハケの掛け具合、紙の間隔調整が分かりませんでしたが、今ではノンストップ状態です。デリバリーも紙がそろってスピードも上がりました」
今年、新台の導入で業務の効率化と生産性の向上を実現した東北紙工。村上社長に今後の展開を尋ねると、「近い将来グラビア関連設備の入れ替えも検討中で、それにより一通り設備が刷新されますが、今後はKOMORIに助言をいただきながら、さらなる省力化および効率的に運用していくことを考えています」 と、ますます生産性を高めていく構想だ。