パーソナライズした高い品質が「好品質」
印刷物の制作工程におけるデジタル化が進み、DTPによる色調整技術も向上する中、印刷オペレーターの最終的な調整による品質管理が、仕上がりに重要な役割を果たすという。
㈱トミナガでは、データに基づいた高い品質だけを目指すのではなく、顧客の好み(要望)を色校時に引き出し、印刷オペレーターが印刷に反映させることで、パーソナライズした独自の高い品質として 「好品質」 を追求している。
堀江部長は、「6年ほど前、部課長会議で今後の運営の方向性をテーマに検討しました。その時、品質について 『高い』 ことも重要ですが、お客様に 『好まれる』 印刷をしようという意見が出ました。それが、当社の経営理念の一つにもなっている 『LoveQuality (好品質) 』 という考え方です」 と振り返る。
その後、効率よく 「好品質」 を実現するために、すでに導入していたH-UV搭載の菊半5色機に加え、2015年にH-UV L(LED)搭載の菊半4色機を導入。2016年にはCTP(サーマルプレートレコーダー)を2台一新した。そして、2019年6月、分光式色調管理装置KOMORI -Color+の導入によって、「好品質」 を徹底追及できる環境を整えた。
「PDCは、顧客が立ち合う色校で、好みの色に調整して出すためには不可欠なシステムです。しかし、既存のPDCが古く、『好品質』 にこだわるためには、刷新する必要性がありました。そんな折に、KOMORIからColor +の提案があったのです。当社でも使い勝手のいいことはよく分かっていたので、Color +に切り替えました」
刷り出し結果は1秒でも早く見たい
KOMORI - Color +によって、印刷オペレーターの作業は、どのように変化したのか。馬籠氏は、「従来は色を1回読み込んだ後、結果が表示されるまで少し時間がかかりました。KOMORI - Color+に変えたことで、5秒くらい速くなっている感覚です。刷り出し結果は、1秒でも早く見たいため、5秒の短縮は非常に大きいです。また、カラーバーの高さを自動的に読んでくれ、入力しなくてよくなったり、くわえからの高さ位置が変わっても自動的に読んでくれるため、紙の高さが変わったり、紙を多少傾けて置いてもエラーすることがなくなりました。エラーを回避するための工程がなくなったことで、確認・調整時間を短縮できています」 と、使用感と効果を語る。
さらに、効果は効率化だけでなく、「好品質」 にも及ぶと馬籠氏。「本番では、校正よりも濃度を上げてほしいというようなオーダーが日常的にあります。例えば、1・5だったのを本刷りでは1・7にしたいというときは、その数値を打ち直すだけで設定できます。また、顧客が立ち合う色校は、週に2回以上あります。見本とは異なった紙での色校を急に頼まれることもありますが、KOMORI - Color +なら対応できます」。
KOMORI - Color +により、1時間のうちに校正を8台ほど行うことが可能になった。1日に40台校正を取ったりすることもあり、1台増えることは、生産力に大きな効果を上げている。
印刷オペレーターの負荷を減らし残業削減にも
同社では、少ない月でも工場全体で3000版、繁忙期は4500版回っているという。堀江部長は、KOMORI - Color +の導入は、働き方改革にも良い影響があるとみている。
「UVを導入したことで、急ぎの案件が増えている背景もあり、印刷オペレーターは、時間的にきつい仕事をがんばってくれています。そもそも 『好品質』 は、とても手間がかかるものですが、そんな中、KOMORI - Color +によって、切り替え時間と損紙の削減を実現できることは、印刷オペレーターの負担を減らすとともに、社員全体の残業を減らすことにもつながると、期待しています」
「顧客の異なるさまざまなニーズに対応してゆくためには、KOMORI-Color+は欠かせない」(馬籠氏)