新工場の設立は印刷への強い意思表示
「新工場の設立は、事業の柱として印刷を継続していくという意思の表れです」 と、強い眼差しを向ける㈱ユーメディアの今野社長。同社は、社名を今野平版印刷からユーメディアに変えた1992年ごろから、印刷会社という枠組みを超えた、コミュニケーションを支援する会社へとかじを取った。
「60年にわたって印刷の受託製造を事業の柱としてきました。今後は、お客様の課題を解決する事業と、地域の活性化を促す主体的な事業の両輪を、バランスよく回して力強く進んでいこうと考えています。多様化するお客様の課題を解決するためには、ウェブやイベント、映像などのメディアも駆使しつつ、核となる印刷を見直す時期にきていました。そこで、新たな価値を提供できる新しい工場の設立を決断しました」
今回その新工場を象徴するものとして、H-U V 搭載リスロンGX40RP(菊全判両面8色オフセット枚葉印刷機)を導入した。「リスロンGX40RPは、社員のモチベーションアップに加え、両輪展開を行っていくための投資と考えています」
リスロンGX40RP導入による大きな効果
同社では、リスロンG40P(菊全8色反転機)1台、菊全2色×2色機1台が稼働しているが、生産現場を指揮する佐々木常務は、新たにリスロンGX40RPの追加導入で、効率化・コスト削減を期待している。
「反転機を使っていますが、くわえ替えのために紙尻のくわえ代が課題でした。4色刷って裏返して、また4色を刷るのは非効率的ですし、片面を刷り波打った紙を印刷するのは難しい。くわえ替えのないリスロンGX40RPなら、1度の紙積みで、ワンパスで完了するので効率的で、紙のくせも問題になりません。さらにH-UVの速乾によって短納期対応できるのも最大の武器です」
さらに佐々木常務は、リスロンGX40RPを 「短距離ランナー」 に例える。「弊社の印刷機には、マラソンランナーのような持久力はいりません。100メートルを速く何本も走れることが必要。それを追求していくと、リスロンGX40RPにたどり着きます」 と、短納期への高い対応力を評価する。
インキの 「KG-911」 をはじめとしたK-サプライについても 「KOMORIの印刷機に合わせて開発されたものなので、当たり前と言えば当たり前ですが、立ち上がりが早かった。K-サプライは全て使っていて、KOMORIに使用感をフィードバックしています。また、立ち上げを担当する技術者、サービスマンのおかげで10日間くらいで完了し、その後すぐに本稼働できました」
作業カット・コストダウンを現場にもたらした
導入によって、現場の仕事の流れは、どのように変化したのだろうか。
佐々木常務は、今は検証段階としつつも、「これまではリスロンG40Pで多くの仕事を刷っており、大きなロスが生じることもありました。リスロンGX40RPが入ったことで、仕事による反転機との使い分けができるようになり、効率が上がりました。さらに、リスロンGX40RPはくわえ替えがないので、四六半裁の仕事でも、片面刷った後にひっくり返して積む作業が不要になります。これだけでもかなりの作業量がカットされます」 と、効率化へ大きな期待を寄せている。また、コスト削減においても 「工場長に就任した時、東北で一番ケチな工場長になろうと決めていました。すでに、設備、資材などのコストカットをやり尽くし、あとは紙が占めるコストの割合を軽減することが課題でした。リスロンGX40RPはくわえ替えがなく、菊全の仕事がA全の用紙で刷れて、四六半裁も両面一度に刷れるので、かなりのコストダウンにつながります」
効率化で削減した時間をスキルアップ、挑戦へつなげる
同社は現在、中期3カ年計画を進めている。キャッチフレーズは 「挑戦するDNA」 だ。「人の手を介さずに作業を効率化するKOMORIの 『オートパイロット』 には最初は否定的でした。しかし今は、オートパイロットのような技術を取り入れ、ノウハウを蓄積し、若い人に伝授していく必要があると考えています」 と佐々木常務。
今野社長も 「オートパイロットやK-サプライなどは、KOMORIが総力を挙げた集大成だと認識しています。効率化による時間短縮を一人一人のスキルアップへ、そして挑戦へとつなげていきます。オフセット印刷機メーカーとして技術を磨いてきたKOMORIからのインキやサプライの提案は、参考になることも多く、期待しています」 と、「挑戦」 を強く意識する。新工場の設立、印刷機の導入は、新たな挑戦の始まりなのだ。