企画デザイン力を強みに受注を拡大する
昔は山形県内の企業からの仕事が100%だったが、今は県内が3割、7割が東京をはじめとする県外からの仕事となっており、市場拡大とともに受注量も増大していると語る若月社長。 その原動力となっているのが、同社が強みとする企画デザイン力だ。
「大手上場企業の顧客は、季節ごとにデザインコンペを行っています。このコンペに参加し、20年間培ってきた企画デザイン力で、受注を獲得しています。ひとたび獲得すれば、印刷物を販促するための、のぼり旗や横断幕、パネル、店内装飾、店外装飾、POP、DMなどの印刷物が派生し、仕事が広がってい きます」
付帯する印刷物までまとめて引き受けるようになったのは、顧客からの「これもできない?」との要望から。顧客担当者はこれまで、印刷物は印刷会社、派生する販促物は企画会社と別々に発注する必要があったが、企画デザイン部門を有する若月印刷に頼むだけで済む。
「弊社がワンストップで引き受けることで、顧客担当者は関連する印刷物のデザインテイストを合わせるハンドリングをしなくて済み、業務を効率化することができます。寒河江事業所に新印刷工場を増築したのも、より多くの顧客のお手伝いができるようにするためです」と、若月社長はワンストップによ る受注拡大に向け、歩みを進めている。
H-UV搭載リスロン S32が拡大する印刷量を支えている
受注が拡大するにつれ、膨れ上がる印刷量。それを支えているのが2011年に導入したH-UV搭載リスロン S32である。
「H-UV搭載リスロン S32は、弊社の主力事業の1つとなっているDM印刷のために入れました。10年前はデータセンターに宛名ラベルを発注していましたが、DMのコストを下げていきたいという顧客の要求の中から、ダイレクトに宛名を印字するという需要が出てきました。油性の印刷機では、表裏の印刷後、翌朝にパウダーをきれいに取る必要がありました。それでもインクジェットノズルにパウダーが詰まってしまうこともあり、ヘッドの消耗品が年間で150万円ほどかかっていましたね」
H-UV機は、消耗品にかかる費用の削減に貢献しただけではない。導入当初500万通ほどあったDMの大きなロスになっていたパウダー取りの時間も大幅に削減された。また、両面印刷後にすぐに小分け断裁できるようになり、短納期にも対応できるようになったという。
この効果に対して同社の印刷課課長の公平純弘氏も「空通しして粉取りをやっていたのが、その必要がまったくなくなり、通しが全体として半分になっています。また、当社はAMFM融合のスブリマ240線を標準としており、何の問題もなく印刷しております」と語る。
K - サプライインキで紙むけの問題が一発解消
さらに公平氏は、K-サプライインキ「KG-911」の導入によって現場の効率化が飛躍的に進んだと続ける。
「もともと他社のインキを使用していましたが、微塗工紙でどうしても紙むけが発生し、とても苦労していました。そんな状況の中、オンプレスでK-サプライインキの記事を見つけ、これはもしかして、と試したところ、一発で紙むけの問題が解消しました」
ベタ部分のむけや色むら、ピンホールなどの問題に対して「UVインキは、タック値が高いから......」と諦めず、K-サプライインキを試すことを公平氏は勧める。
「K-サプライインキは、薄盛りでも完全に狙った通りの色が出せますし、タック値が抑えられているので、機械の負担も軽減できているのではないでしょうか」と、高い評価を強調。「他社のインキから取り換えた際は、そのままのデータで印刷すると、かなり濃くなってしまう。そこで、ツボキーで7、8割で抑えて印刷することで落ち着き、インキ使用量が減るなどの効果が出ています」と語った。
同じ絵柄の定期的な仕事の中でも、従来1・5キロ使っていたインキが、1キロ未満で刷れてしまったこともあったというから、インキの削減効果も間違いないだろう。
さらなる高品質化を目指し高度な印刷物にもチャレンジ
H-UV機を導入、K-サプライインキを使用したことで、美術要素の高い印刷物の受注も得られるようになったと若月社長は語る。
「広告デザイナー関係の方は、紙の選定にも非常に強い思いがあります。仙台の顧客から、御社にH-UV機が入ったならお願いしたいと、ヴァンヌーボのお仕事を機器導入時から毎年いただいています」
また、新潟の顧客からはH-UV機導入後に「印刷物の出来栄えが以前と違うね。メリハリがあり、写真もシャープに刷れている」と、高い評価を得たという。 若月印刷の企画デザイン力や技術力はH-UV搭載リスロン S32とK-サプライインキ「KG-911」の導入によって、さらなる可能性に向けて進化している。
「印刷はリピートの商品です。お客様のニーズが高度になってきている中、要求や期待に応えられるよう、社員一人一人の技術力はもちろん、人間力も高めていかなければなりません。教育、商業、工業、葬祭など、ありとあらゆる業種のお客様に 『若月印刷さんに』 と名前を挙げていただけるよう、企画力とともに、さらなる高みを目指していきたいと思っています」と、若月社長は常に会社を挙げたチャレンジを強調された。