パッケージの製造、包材関連の商品販売を展開
㈱ヤナパックは創業以来、「パッケージ・包む」をキーワードに、日本独特の包装文化を培うために幅広い企業活動を行っている。パッケージはもとより、包装に必要な包装紙や紙袋、しおりやラベルなど一連の印刷物の企画・デザイン・印刷・加工までを展開している。
同社は熊本市の流通団地内にあり、周辺にはお菓子の会社・工場も多く、そのため和菓子・洋菓子の箱をメインとしたパッケージ関連の製造を行っている。パッケージの企画・デザインは本社で行い、印刷・加工仕上げは同社の城南工場で行っている。城南工場には本年3月にエンスロン29-W(菊半裁寸延4色機)が導入されている。
さらに、本社の1階にあるパッケージ専門店・パック工房は、包装・包材関連の多様な商品の販売をはじめ、一連の印刷物の企画・デザイン・制作など幅広い業務を手がけている。パック工房には、一般の消費者、お店の関係者、メーカー関係者など幅広い層のお客様が訪れるという。
体質強化の受け皿づくりにImpremia C70導入
石田社長に幅広い業務を行っている理由をお聞きした。
「包材に関する一連の製造を行っていますけれども、何でも出来るという受け皿を作っておいて、もっと多くの業種に展開できるようにPRしていきたい。一つのことに偏らずに、安定した受注ができるような受け入れ態勢を作っていくことが大事です。そして、お客様に信頼される提案型企業を目指そうと努力しているところです」と語られた。
そして本年1月、同社は新たな受け皿としてImpremia C70を導入した。同機はパック工房に設置されている。
石田社長にImpremia C70の導入経緯を伺った。
「消費者の多様化と同時に非常に少量化しており、最近はお菓子を作っている会社も企画力の時代になっています。当社の営業から『オンデマンドはあそこでも入れている、ここでもやっている。やはり当社もオンデマンドを入れることによって体質強化を図っていきたい、印刷物の受注をもっと促進していきたい』という要望がありました。他社からも導入の勧誘がありましたが、KOMORIは印刷機をやっておられてオンデマンド機にも説得力があると感じましたし、今後の印刷機とのマッチングも考えてImpremia C70に決めました」と導入の理由を語られた。
小ロットのオリジナルものに対応力を発揮
同社でのImpremia C70の活用方法について伺った。
「パッケージへの利用としては、最近お菓子屋さんのオリジナルの箱で20個、30個作りたいという要求が多くあります。貼り箱という手法ですが、当社でデザインしてオンデマンドで紙に刷って、その紙を箱に貼って多種多様な化粧箱を作ることができます。それに製本機能でページ物も印刷できます。お菓子屋さんが商品をPRする小部数のパンフレットを作るのにオンデマンドはもってこいですよね。最近はお客様がデジタルカメラで商品を撮った写真などを使って、当社が企画デザインしてパンフレットやカタログを作っています。また、厚物が印刷できますから、デザインして印刷したものをCADにかけてポップを作れますし、デモ用や様々なグッズなども作れます。お客様の要望をすぐにカタチにすることができます」と石田社長は語られ、多様に活用できることを高く評価された。
パック工房の石田ラッピングアドバイザーは、「パック工房には『オリジナルなものを小ロットで作りたい』という潜在的なお客様がたくさんいらっしゃいます。ロットの大きいオフセットではなかなかお応えできませんでしたが、オンデマンドを導入してからは、お店の方や一般のお客様にもすぐに対応できるようになったのが一番の強みです。既存のお客様にもバレンタインとかクリスマスなど、その時期にしか使わないものにもオンデマンドでオリジナルなものができるようになったのが嬉しいですね。季節によってディスプレイのデザインを変えるなど小回りの対応ができるので、お客様にも提案しやすくなっています。タッチパネルで操作がすごく簡単にでき、写真がとても綺麗に出ますので、お客様に自信を持ってお勧めできます」と、お客様に喜ばれる仕事の幅の広がりを評価された。
これからも新しいものに挑戦していきたい
「導入して3ヵ月くらいですが、お客様へのオンデマンドのPRはかなりできていると思います」と言う石田社長は、「まだ使い方に慣れていない」とも言う。
「当社はどちらかというとエンジンのかかりが遅い方ですから、今から少しずつオンデマンドに慣れれば、これからの仕事につながると期待しています。今、経営コンサルタントからも色々な提案や指導を受けています。やはり営業も販促のプロセスを身につけてお客様にオンデマンドをPRして、さらにお客様からもPRしていただけるようにしていくことが大事です。オンデマンドの導入で社内の意識も随分変わってきました」と語る石田社長は、Impremia C70の運用についても長い目で見守っているようだ。
同社は「創造・誠実・友愛」を企業理念に掲げ、お客様とのコミュニケーションを大切にしながら、お客様の多様なニーズに応える職人気質のプロ集団である。
石田社長に今後の方針について伺った。
「つねに新しいものに対するあくなき挑戦が大事です。これまでの50年とは違って、今まで以上に厳しい問題が出てくると思います。今後は時代を生き抜く洞察力やアイデアのある人財を養成していきたい」と、石田社長は新たな可能性に視点を定めているような笑顔で語られた。
厚物・薄物に威力を発揮するエンスロン29-Wを導入
村田工場長はエンスロン29-Wについて、「稼動からまだ3週間です。今のところ厚紙・薄紙半々ですが、この機械は安定していて操作性も申し分ないですね。1人で操作していますが、濃度測定で色の管理ができ、切替もかなり自動でやってくれますので助かります。今後はカラーマッチングにも力を入れていこうと思っています」と語られた。
オフセットとImpremia C70の融合にはまだ着手していないが、今後の課題として追求していくという。