地元に根ざした印刷会社が活動の基軸
創業の地が埼玉県吉川市だったことから、吉川印刷の社名が決まったという。その後、隣接した越谷市に移転。印刷物だけでなく、デザインや撮影などの制作業務をはじめノベルティーの提案、製品化など地元を中心に幅広い業務を行っている。
「当初は、チラシがメインでしたが、時代の流れで今はパンフレットや配布物など、お客様に要望される商品をニーズに合わせて提供し、仕事の変化に伴って機械を入れ替え、今ではいろいろな印刷物を手がけるようになりました」と語る奥田社長。
「お客様に恵まれて、設立当初からおつき合いをいただいている所がほとんどで、小さな仕事を積み上げて大きな結果となるよう仕事をしています。現在は大手企業を含め、さまざまな業種のお客様に、常に便利な印刷会社として、スピーディーな納品ができるよう心掛けています。会社名でも分かるように、今後もお客様の顔が直接見える、地元密着型で仕事をしていきたいと思っています」と語る。
これまで多くの仕事で活躍してきたのが、7年前に導入されたKOMORIのオフセット機スピカ29P-W(菊半裁寸延4色機)。その後、多様化するニーズや受注量の拡大にきめ細かく対応するため、昨年、生産面での見直しを行い、工場を整備し新たな印刷機を導入する検討を始めた。また、この時期、事業面でより一層の充実を図るために、長年に渡って交流のあった地元の三和印刷㈱と工場を共有し、協働して仕事をする計画を進めていた。
各々得意な分野を持つ会社の協働で事業の拡大
「三和印刷さんとは、これまでも仕事を出し合う仲間で、仕事内容も異なることから、協働することになりました。同じ機械を持っていなかったこともあり、グロスでいろいろな設備を持つことで、さらに幅広いサービスを提供することができ、他社と差別化を図り個性を出していくことが狙いでした」と語る奥田社長。
新しい生産現場に新規に導入する印刷機は、これまでの使用や経験により、スピカ29P-W(菊半裁寸延2色機)と決めていた。さらに、仕事の見直しを行い、料金面の充実などを考慮したところ、PODが不可欠という結論に達し、導入を積極的に検討した。
「これまでも他社機によるPODに取り組んだ経験はありました。スピカの商談時、KOMORIからの提案もあり、良い機会だと思いインプレミアを見に行きましたところ、一度出力した紙をもう一度通しても見当ずれがまったくない。搬送系の良さは見当だけでなく、ノンカーボン紙の40番が使え、厚紙においても反りがまったく出ずに、排紙部での揃いも良い。そのため、断裁や後加工がやりやすく、三和印刷との協働で伝票印刷が増えることもあり、導入を決めました。また、小ロットのカラー印刷にも対応していくため、モノクロのインプレミア1052だけでなく、カラーのインプレミアC61も同時に導入しました」
当初、オフセット機ができない所をPODで補えればよい、というイメージでの導入だったが、実際にインプレミアを使ったところ、
「従来の仕事をPODに変更することで、納期の短縮や価格的に抑えられるものがお客様に提案できました。冊子ものにおいても、ページ数の多い中身はオフセット機で、数が少なくなる表紙はPODで組み合わせたり、オフセット機の面付けで端数が出たものをPODでやったりするなど、お客様からも喜ばれています。また、大容量のカセットはこれまでの人的な負担を軽減し、作業効率も上げてくれました」と、お客様へのサービス面での大きな効果や、生産面での効率向上について語った。
インプレミアの導入で新しい提案が可能になる
インプレミア導入に関して、現場を担当する奥田邦彦氏は、「スピカとインプレミアの色に関しては、導入時にオフセット機とPODの色合いが合うように時間をかけて調整してもらっていたので、品質的に変わりません。今は、オフセット機で刷るかPODを使うかをお客様に聞く時代ではなく、どうやったらコストを抑えられるかをお客様に提案できるかがポイントとなっています。
また、どうやったらお客様が満足するものを作れるか、効果のあるものを提案できるかを考えることが重要と考えます。その可能性を広げてくれた、インプレミアの導入効果は、とても大きいと思います。思い通りにでき上がった達成感はオペレーターの喜びであり、お客様の喜びにつながります。そこが、印刷の仕事の楽しいところ」と語り、営業業務も兼務している立場から、お客様との接点において、商談の幅が広がっていることの喜びを強調された。
地域のお客様のニーズに応え、お客様の成長が吉川印刷の成長に直結する「共存共栄」の会社でありたい、と言う奥田社長は、「お客様に頼まれ信頼されると、いろいろな課題をいただきます。その課題に対し 『良いものを、できるだけ安く、早く』 提供したい。そのためには、地域で連携して仕事を進め、行政やお客様と共に歩んで行くことが重要だと考えています」と、これからも、地域産業の発展へ一翼を担う決意を語られた。