POSTPRESS

ポストプレスコラム

Vol.04

「ビク」と「トムソン」何が違う? どちらも「打ち抜き」で問題なし

 昨今、地域活性化に取り組む人々の活躍により、全国で新たな名産品が次々に生まれています。それに伴い、各地で紙器・パッケージの制作を担ってきた印刷会社のフィールドも拡大しています。そのような中、顧客や協働する企業などとの間で交わされるいくつかの用語に、ふと疑問を感じることもあるのではないでしょうか。
 例えば、根本的なところで、「ビク」と「トムソン」では何が違うのでしょうか。「ビク抜き」や「トムソン刃」「トムソン型」といった活用例があります。日常の現場では、おぼろげに疑問を感じながらも、双方とも「打ち抜き」を意味する単語として、「打ち抜き刃」や「打ち抜き型」などと頭の中で置き換えながら、仕事を進めているのではないでしょうか。
 答えとしては、現在、それで特に問題はありません。これまでも何の不都合もなかったはずです。
 「ビク」はドイツ・シュナイダー社の「ビクトリア式」という、平圧式の活版印刷機を改造した打ち抜き機の略語です。同機は明治中期以降、関東で多く使われました。その名残で、関東では打ち抜きのことを「ビク」「ビク抜き」と呼ぶ人がまだ多くいます。
 一方の「トムソン」は、アメリカのトムソンマシン社の機械が由来です。こちらは明治中期以降、西日本地域で広く導入されました。現在、ビクに比べて業界での浸透度が高く、紙器のメッカ・大阪では誰もが使う日常的な用語となっています。
 双方の機構は異なっていましたが、現在はKOMORIの「アプリシア DC105」のような自動平盤機が主流となっており、慣習としての言葉だけが残っている格好です。

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