POSTPRESS

ポストプレスコラム

Vol.07

余裕ある表紙の多丁付けが製本の効率化に直結 刃を下ろす回数増加も自動化がカバー

 冊子ものの表紙は通常、表1から背(無線綴じの場合)、表4までを一連のものとしてデザインし、その周囲には裁ち落とし3ミリを設定します。これを1丁として大判の紙に多丁付けすることになりますが、その際、縦横に隣接する丁の間は、ドブなしでくっつけて配置しているのが一般的ではないでしょうか。外トンボを隣同士で共有させているため、製本前の小分け断裁で、刃を下ろす回数が少なくて済むからでしょう。
 このような丁付けレイアウトは長年の慣習から業界標準のようになっています。特に大きな問題とはなっていませんが、製本現場では実は、紙の取り都合に余裕があるなら「裁ち落としを数ミリ伸ばしてほしい」あるいは「丁と丁の間にドブを入れてほしい」などと希望しています。製本工程は表紙や折丁など多様な紙質の立体的な部品を組み合わせる作業です。そのため、表紙を少しでも伸ばしてもらい、折りなどで発生する寸法の誤差を、三方断裁などで調整する余地としての「遊び」が欲しいわけです。数ミリずつのレイアウト調整が、製本工程全体の生産性向上や高品質化に想像以上につながっていくのです。
 すべての案件ではないにせよ、レイアウトを柔軟に変更するのはプリプレスの役割ですが、それを受ける製本側にも、断裁手順の変化が生じます。最近の断裁機の自動化は大きく進化しています。KOMORI のハイエンド断裁システム アプリシアCTXシリーズには、断裁手順を自動作成するソフトを搭載しています。さらに、バックゲージなどのプリセットデータを、印刷工程全体を管理するクラウドベースのミドルウェア KP-コネクトプロから受け取ることができます。製本工程の生産性・品質を向上するため、表紙に刃を下ろす回数が増えたとしても、それを十分に相殺できる時代になっているのです。

アプリシア CTX132を中核としたハイエンド断裁システム(IGAS2018にて)

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